カレーが苦手

うちの奥さん。
いわゆる伝統的なスリランカカレーはあまり上手に作れない。
ちょっと一工夫して伝統的な枠組みから飛び出ると、非常に美味しい。


理由を考えた。


彼女自身が伝統的なというか田舎の家庭の味が好きではないというのが、大きな理由かもしれない。
うちのお義母さんが作るカレーは、まぁ普通に美味しい。
でも油分が多く、塩味も強く、素材の味が感じられないものが多い。
鮮度の悪い野菜や肉をスパイスで味付けて、なんとか食べられるようにするのならば、それで良い。
でもスパイスを食べてるわけじゃないからね。
素材の味が感じられなければ、色々な種類のカレーを作る必要性が無い。


奥さんのカレーは、お義母さんに比べて薄味。
油も少なめ、塩も少なめ、スパイスは少量使って素材の味を楽しめるように作る。


先日、海老のカレーを作ってくれた。
ココナッツミルクを大量に投入して、ココナッツのこってりした味わいとエビの豊かな風味が楽しめた。
絶品でした。
翌日は魚のカレー。
お義母さんが作るようなカレーだ。
スパイスで味をつけていくのですが、それだけではコクがでない。
そこで物足りなくてスパイスを更に追加投入。
味見を繰り返し、味の迷路に嵌り込む。


「なにか物足りないんだけど、何を足せばいいか分からない」と言ってきた。
私に味見をお願いしてきたのだ。
「俺、スリランカ人じゃないんですけど」
と言ったのですが、「別にスリランカカレーを作る必要はない。美味しければ良い」と至極真っ当な答えが帰ってきたので、味の調整をすることに。


味見すると、スパイスが強すぎる。
あと酸味が足りない。
物凄く尖った味になってしまっているのだ。


そこで冷蔵庫を確認して、カード(水牛のヨーグルト)を入れることにした。


味のとんがった部分がまろやかになり、適度な酸味が足されて、まぁなんとか美味しく食べられるようにはなった。


日本でも塩分を減らすために強めにダシを取ったりする。
スリランカでも旨味を強めにすることで、塩分を減らすことが可能。
塩分だけでなく、スパイスも同様。
ここで言っているスパイスとは、日本で言うカレー粉のようなやつね。
風味と辛味は強いけれど、旨味はそれほど有りません。


うちの奥さんは、旨味の物足りなさをスパイスの量で補おうとしたのだ。
そうじゃない。
別の種類の旨味を足すことで、総量では旨味成分が少なくても複雑で豊かな旨味を感じるようになる。
旨味は足し算ではない。
掛け算。


そして料理は科学。
そこの理解が足りないのかもしれない。


いや、総じて奥さんの料理は美味しいし満足してますよ。
幾つかは絶品とも呼べるレシピもありますし。
でもたまにミスするってことです。
それは当たり前。
いつも100点満点は無理です。
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