日曜日の朝。
コロンボを早朝に出たバスが、対向車線をはみ出してきたトラックを避けようとして谷底に落ちた。
200フィートというから、60mほど。
十数名が死亡し怪我人も多数。
現場はPassaraという、バドゥッラ県の小さな地方都市。
我々のプロジェクトでルヌガラというサイトが在ったのですが、その途上。
一時期は毎日のように走っていた道です。
非常に細い道路(国道ですが)で状態も悪かったのを、我々の工事と同時期に改修工事をやっていた。
通るたびに皆の話題になっていた事がある。
道路脇を拡幅する斜面掘削の角度。
もう少しなだらかに切らないと、すぐに落石が起きるね、と。
我々の工事は落石対策や地すべり対策なので、冗談で言っていたものです。
「スリランカで道路工事をするたびに私たちの工事現場が増えますね」って。
それが、こんな感じで事故が起きてしまったのは悲しいし、予測できた事だと思うと憤りを抑えられない。
山側斜面からの落石。
その日の前日かな。
一応トラテープで最低限の注意喚起は為されていた。
その石を避けて反対車線に出たトラック。
そのトラックを避けようとして谷底に落ちたバス。
本来の車線を走行していたのはバスなので、優先通行はバス側にあった。
結果として、トラックの運転手は逮捕。
まぁ誰かを処罰しなければならないと考えれば、そうなるのも理解は出来る。
でも、そうであれば道路管理者の責任を追求するべきでしょう。
斜面対策も無くあんな道路を作れば、落石が四六時中発生するだろう事は、誰もが予想できる。
あまりにも急な山側斜面の切削角度。
亀裂の入っている岩。
切削上端部に生えた木。
薄い表土。
激しい雨。
誰でも思う。
ここに長時間は居たくないって。
切削角度を緩やかにすると確保する道路用地が増えるので、補償の費用が嵩むのも理解できる。
場合によっては、土地の主権者が了承しない事も想像できる。
ケゴールのバイパスも主権者が嫌がり、政治家を使って計画に口出しした結果、追加で斜面対策が必要になっている(やってないけど)。
こんな道路は山ほどあります。
安全に使うことの出来ないインフラに意味があるのか、甚だ疑問です。