ジェンダーギャップ指数の問題点

世界経済フォーラムが毎年出している指標ですね。


まずは「世界経済フォーラム」について。
非営利団体です。
じゃあ大丈夫かなと日本人の多くは思うかもしれないが、資金源は世界中の大企業1000社ほどが基本会費(500万円ほど)を払う形で運営されていると考えれば、金持ちと先進国を対象にした組織だと解る。
その他、ダボス会議なんかでは特別協賛金を別に受け付けている(数千万円単位)ので、大企業の中でもさらに大きな会社に有利な組織だとも言える。


これを踏まえた上で、毎年出される「ジェンダーギャップ指数」が実情とマッチしていないという話。
日本はいつも下位ですね。
2021年は156カ国中120位。
これを以て攻撃的な一部のフェミニストが叫ぶ訳です。


見解を示すその前に、指標の内訳を見たい。
ジェンダーギャップ指数を出すのに使っている指標は14個。
それを4つの分野に仕分けて数値化している。
男女平等なら1、そうでなければ0に近づく。
分野は
1 経済活動の参加と機会
  01 労働力の男女比
  02 類似の労働における賃金の男女格差
  03 推定勤労所得の男女比
  04 管理的職業従事者の男女比
  05 専門・技術職の男女比
2 教育
  06 識字率の男女比
  07 初等教育就学率の男女比
  08 中等教育就学率の男女比
  09 高等教育就学率の男女比
3 健康と生存
  10 出生時の男女比
  11 平均寿命の男女比
4 政治的エンパワーメント
  12 国会議員の男女比
  13 閣僚の男女比
  14 国家元首の在任年数の男女比(直近50年)


こんな感じです。
平等な順に7つのグループに分けて表示すると日本は下から二番目。
f:id:monito:20210613205710p:plain


で、実感とか実情と違うよねって話をすると、2021年のデータでは7位にルワンダが入っている。
これは政治のスコアが全体で6位だったことが貢献している。
女性の政治進出が進んでいるのはルワンダ虐殺で男が大量に殺されたから。
その後、女性の国会議員数を全体の30%以上にすることも決められたけど、スタートは虐殺。


日本を見てみましょう。
圧倒的に弱いのは政治的エンパワーメントの分野。
これは、そうですね。
日本は全然駄目ね。
でも、そもそも国会議員になりたいと思うかどうかって問題もありますよね。
その環境が整っていないと言う事も含めてと言われればそうですけど。
現状では、先輩議員に声を掛けられて決意するパターンが多いので、声がけが男側に偏ってるって事もあるかも。
まぁ政治なんて誘われてやるようなモノでも無いですけど。


次に弱いのが、経済活動の参加と機会。
この中で一番弱いのは、管理的職業従事者の男女比。
これもねぇ。
責任ある立場に立ちたいと思うか?って話があるんでね。
男女問わず、責任のない立場で賃金が同じ仕事なら、そっちに行くと思うのですが。
そして専門・技術職の男女比も低い。
リケジョって言葉があること自体が、技術職に進む女性の少なさを示してて、これって自分で選択してるんですよね。
だから、これを以て男女のギャップと言うのはどうなんでしょう?
そもそも、これが平等になる事を女性が望んでいないのでは?
類似の労働における賃金の男女格差については、是正が必要ですね(世界平均よりポイントでは少し上、順位では83位)。
これを改善すれば推定勤労所得の男女比も是正されると思います。
公務員は比較的男女差が無い分野ですが、日本は公務員が少ないですからね。
これも他の国に比べて不利に働いてます。


そして教育。
識字率の男女比と初等教育就学率の男女比は世界でも一位。
男女に差はないとなっている。
なのに何故か中等教育就学率の男女比が129位。
これ、なんで?
高等教育就学率の男女比も110位。
不思議です。
ちょっと理由が思いつかないので、調べますけど。


最後に健康と生存。
出生時の男女比は男女差無し。
と言うことで世界一位。
そして、平均寿命の男女比。
これは72位。
これは、女性が男性の何倍長生きするかで計算されてるので(他の数値もそうです、female/maleで出してます)。
男女差を語っているはずなのに、、、。
この段階で気付きました。
男女に差が無いってのがスコアで上位になるはずが、この指標は違うよね。
あと、もう一個。
出生時の男女比差が無いって言う事の意味ね。
これすごく大事で、出産に際して男女の産み分けをしてないって事なんです。
この数値に大きな差が出るって事は、出生前診断で女の子だと分かると中絶する国が在るってことです。
日本では産まれてくる子供の性別で、その子の将来の幸せに差は生じないと、親は無意識に理解してるんです。
男女で将来の幸福度が異なる国では、産み分けが起きてますから。


これ凄く大切。
つまりジェンダーギャップ指標は男女の相対的な差を示すものであって、絶対的な幸福度を示せてないってことです。
例えば経済活動の話で、労働力の男女比。
ここには失業率も、進んで就労してるのかも加味されていない。
途上国では、男が働かないから女性が仕方なく働いているパターンも多い。
日本なら離婚ですか?
でも宗教的に離婚が認められていなかったり、離婚した女性の立場が低かったりして、それが不可能な場合もある。
「離婚女性の立場が低い」と言うのが問題だと言うのも理解できる。
でも、その女性が再婚すると未婚女性のチャンスが減るという理由で、同じ女性同士で差別してる国もあるので、一概に男女の話でも無かったりする。
それが駄目ってなると、男女の差は認めないし同時に文化の多様性も認めないっていう、偏狭で歪な人格だと認めることになってしまうので注意。


政治で言えば世界初の女性首相(1960年)を産んだのはスリランカですが、これは急逝した旦那が首相だったことで一般人が担ぎあげられて生じた事象であり、その後に誕生した女性大統領はこの人の娘。
つまり世襲議員です。
それが悪いと言う事ではなく、結局は自力で政治家になろうとする女性が総数として少ないって話。
世界初の女性首相を産んだ国ですら、女性議員は6%以下ですから。
ちなみに日本は10%以下(世界平均は25%ほど)。


日本で生きづらい思いをしている女性も多いのかも知れません。
ですが「男に任せてても変わらない。自分たちでなんとかしなきゃ」とまでは思ってないってことでしょ?
旦那の稼ぎじゃ足りないし、自分でビジネスやるぜ!!とも思ってない。
だって多くの旦那はそれなりの稼ぎがあるし、少なければ小遣いも絞って家にお金を入れてる。
日本の一部の過激なフェミニストの言い分は、多くの女性の意見を代表していないし、世界経済フォーラムジェンダーギャップ指標も「ある限られた一面」しか示していない。
ちなみに原文に当たれば分かりますが、分野によって偏りのひどいものもあって、データとして経済と政治の点数の重みが凄く強いです。
例えば、健康分野は0.980から0.935の範囲に全ての国が入っている(それも不思議だけど)のに対して、政治分野は0.760から0.001に分散してる。
なので健康分野を指標に入れるのは、ほとんど意味が無い。
ちなみに教育も1.000から0.900までに8割以上の国が入っているので、こちらもあまり意味が無い。
経済とか政治の成熟度とか、政治に不満を持つ女性の多い国ランキングと言ったほうが近い。
まぁ、世界経済フォーラムですしね。
ジェンダーを語るなって話ですわ。


だからこのままで問題無い、って話では無い。
男女平等を目指すべき分野もあるし、平等にしないほうがいい分野もある。
極端な話、平均寿命を同じにする事を目指すと、医療費の支出が増えます。
それも選択的に男性に対して。


すぐに法律で縛れるところは縛る。
例えば男女を指定しての採用とか(特殊業務を除く)、それによる賃金格差とか。
それ以外の閣僚や政治家の数、管理職、専門職の比率なんかは個人の自由選択の結果だったりしますから、自然に任せませんか?