横暴ですね

スリランカでも最古の灌漑用タンクであるティッサマハラマ・ウェワの浚渫を中国企業が担当している。


この用水池は紀元前3世紀頃にルフナ王朝によって整備されたのかな?
よく分かりません。


なんにせよ、この国内最古の溜池を中国企業が浚渫している事に関して、どういった経緯で決まったのかが不透明。
少し前にも新たな高速道路建設中国企業が取ったのですが、入札してないとか。
その前のLRTのキャンセル然り、MMC然り、ETCの導入然り。


この浚渫作業に関しては「スリランカから支払いは発生しない」と灌漑大臣が発言した。
ならば企業側のメリットは何か?
浚渫で発生した砂や泥と言った副産物を販売する許可を与えたみたいで、それでペイさせるのかな。
曰く「この事業で取り除かれたすべての物は企業側に譲渡する」と。
砂は建築資材。
泥は肥料といったところか。
そして懸念されているのは歴史的な遺物が発見された場合。
その事に関しては何も発表されていない。


記録では1871年に整備事業が行われてはいるのですが、なにせ重機のない時代のこと。
今回の浚渫で新たな発見が期待されている。
歴史的な発見もあるかも知れないって事です。
ですが、そこで出土した物の権利はスリランカ側から主張出来ない可能性有り。


そして、もうひとつ。
この作業に従事している人たちが軍服を着ていること。
スリランカでは軍隊に従事している人以外が軍服を着用するのは禁止されている。
そして外国の軍がスリランカ国内で活動する事も禁止されている。
MCCが破棄された理由の一つもコレ。


ちなみにMCCとは、Millennium Challenge Corporationの略でアメリカの援助プログラム。
USAIDから政治的思考を排除したものとされている(アメリカ側主張)。
援助を受ける側にも適正が要求され、民主化の程度や法の支配、汚職の少なさなど17の指標を第三者機関が判断し適格性を担保する。
スリランカがその審査をパスした事も驚きだが、もっと驚いたのはスリランカ側がこのチャンスを放棄したこと。
500億円規模の援助を受ける機会を手放した事になる。
交通渋滞の緩和、土地記録の保護などをターゲットにしていたが、これが「米軍がスリランカに入国するための枠組みを作っている。米軍地位協定などの、よりあからさまな安全保障関連の協定」と結び付けられて、廃案となったとか。
実際にはこの「交通渋滞の緩和」と「土地記録」こそが邪魔だった政府。
目標に掲げてはいるが、実際には私腹を肥やす手段として捉えている政府上層部にはクリーンな開発なんていう物は、無用の長物でしかない。
交通渋滞緩和にはLRTが必須条件だったが、MCCのキャンセルを前にして、こちらも既にキャンセルされていたのでまぁ土台からして無理ですが。
ちなみにLRTは総工費2500億円規模とか。
LRTに続いてMCCを受けていれば500億円のドネーション
5分の1は賄えた計算。
中国企業LRTを、仮に受けたとして総事業費は半額になると言われている。
しかし金利の支払いで総支出額はほぼ同じになると予想される。
人件費は日本のほうが高いと思うが、その一部はスリランカ労働者に還元されるもの。
中国企業の場合は、中国人労働者へ。
資金の多くが材料や技術にでは無く、資金調達の代償として支払われる。
出来上がったモノの品質は、どちらが信頼に値するか明白。


「路面式で検討していたが、高架式に変更された」←契約したんだよね
「高架式は環境負荷が大きい」←マイナス要素は日照権ぐらいか
強制移住者の発生」←中国式も同じ
「コストが高すぎる」←ほぼ同額
「貨物輸送が不可」←高架式なら中国も同じ


ちょっと話が逸れた。


プログラムなりプロジェクトを否定するなら、まともな理由を持って来ないと自己矛盾に陥る。
中国の大手企業で軍部が関わりを持っていないところなんて無いし、それを理由にアメリカの援助を断るなら中国からは到底無理。
資金調達の難しさを主張しながら援助を断るのもアホ。
コロンボ地区でゴミの分別とコンポスト化を数年前に開始したのに大統領が代わってキャンセルされ、今になって化学肥料禁止、有機肥料を作る農家には資金援助するとか。
ちなみにコンポスト化を開始した大臣が、LRTを開始した人(この人はまともな知性を持っている)。
今回のLRTに関するキャンセル料にしても、過去に同じことが何度も起きている。
1978年に起草されたコロンボと空港を結ぶ高速道路。
これも3度ほどキャンセルして罰則金を支払い、最終的に着手完成したのは2010年?
これも日本の援助。
上記の大臣が言ってましたよ。
そして国会議事堂も日本の援助。
その国会議事堂で日本を足蹴にする決定をしたことに、大臣は激オコでした。


スリランカですな。


追記:
これを書いた(06/23午前中)あと、06/23の夜のニュースで軍服を着ている作業員のことが、ニュースになってました。
「迷彩柄はスリランカでは許可された軍人以外は着用できない」のに何故?と。
そして、その報道に対して在スリランカ中国大使館の公式Twitterは、以下のようにツイート。
f:id:monito:20210623232205p:plain
アリババの販売サイトを添付する形で「メディアはファクトチェックをしてるのか?」と煽る。
つまり、中国ではアリババで自由に購入できる。
迷彩服を着てるから軍人だとは言えない。
つまり、文句を言うなって事ですね。


スリランカでは禁止されている状況で、実際にスリランカ人が逮捕された事があるのに、この開き直り。
国会でも逮捕しろという主張がされてました。

ちなみに、このニュースが長引いてドラマが一つ放送されない事態に。
大変な事態w


それにしても中国大使館は強気だなぁ。