夕方からコロンボに上がる。
コロンボに着いたのが夜の8時。
バススタンドや駅周辺には、まだまだ人も多い。
そんな駅前でバス待ちをしていると、15〜16歳くらいの子供に肩を叩かれた。
面倒な気配が漂っていたので、耳にはめていたミュージックプレイヤーのイヤホンを外す事無く
「なに?」
と返事をする。
向こうはちっともひるむ様子もなく
「いま何時?」
と英語で聞いてくる。
あえて外国人に、しかもイヤホンをしている男に、そして英語で時間を聞くということは、からかい半分か外国人と話したいだけ。
時間があればこちらもまともな対応をするところだが、あいにく時間がない。
これから「火鍋」で美味しい鍋が俺を待っているのだ。
遅れてもきっちり割り勘になるのだから、時間厳守でたどり着きたい。
そこで俺は
「はぁ!?」
と、イヤホンを外さずに聞き返す。
「いま何時!?」
こいつも負けていない。
すかさずもう一度
「はぁ!?」
と声を大きくしてみる。
「いま、何時!!??」
腕を指し示しながら、相手の声も大きくなる。
そして、ダメ押しの
「はぁ!!??」
敵もついに諦めたのか
「こいつ英語わからないみたい」
と言って、立ち去った。
小さな勝利をつかんだ瞬間だ。
しかし本当に時間が聞きたかっただけだったら、可哀想なことしたな・・・と考えながら、丁度到着したバスに乗り込んでふと駅舎に目をやると、目の前に時計が掛けてあった。
やはり、俺の対応は間違っていなかった。