ハラル・ボイコット

最近良く見かけるポスターにハラル・ボイコットがある。


シンハラ人、主に仏教団体が主導している主張らしい。


いくつか理由があるようだけれど、
主なものは、屠殺方法が残虐であるとか、
ハラル認証システムによって手数料が搾取されているとか、
そんな感じ。


屠殺に関しては、ハラルの場合、
イスラム教徒によって、神の名を唱えながら、鋭利な刃物で喉笛を切る。
この三点が譲れない条件。
なので、近代的な屠殺方法にはそぐわないし、決して効率的とも言えない。
なぜ、こんな事をするか?
ひとえにコーランに書いてあるからであって、それ以上の理由は何もない。
近代的な屠殺方法が残酷ではないとは思えないし、
ハラルの屠殺が、近代的な屠殺よりも苦痛を与えているとも思えない。
まぁ、屁理屈ですな。
だいたい、シンハラ仏教徒は動物の命を奪う事自体を良しとしないので、
シンハラ人が家畜を飼育し、それをイスラム教徒に売って、
ハラル式の屠殺を行い、それを仏教徒が買い戻すという方法を編み出した。
屠殺の現場に関与していなければそれで良いという、
もの凄くスリランカ的な感じ。
しかし、このシステムの良い点は、仏教徒にもイスラム教徒にも
販売が可能だという点。
販売チャンネルが増えるわけだし、食肉販売業者にしてみれば嬉しい限り。
つまり、誰も損をしないシステムだったわけですな。


それがこの頃になって、問題とされてきている。
少数派であるイスラム教徒が経済的に仏教徒を押しのけつつ有り、
それに対する不満が高まっているからだろう。


でも、良く考えてほしい。
ハラル認証システムを否定するならば、誰が屠殺するの?
「シンハラ人にはハラルは要らない」と言うなら、屠殺はどうするの?
仏教徒がするわけ?
それを嫌がったからこそ、イスラム教徒に家畜を売るシステムを
開発したんでしょ?




ところで、スリランカの漁業従事者はキリスト教が多い。
元は仏教徒だったのだが、漁をするということは、
すなわち命を奪うことであって、仏教の教えと合致しない。
なのでキリスト教に改宗したのだ。


そんなメンタリティーの持ち主であるスリランカ人が、
大型哺乳類や家禽類を屠殺できますか?




動物を殺すのを嫌がった結果、他教徒に利権を奪われ、
今になってそれを非難する。
なんだか自分勝手に思えて仕方ないのです。


日本の部落差別にも、どこか通じる感があるね。




まぁ、なんにせよ人の嫌がるところには金が埋まっている
ということかもしれない。