2015選挙結果

マイトリパーラさんが僅差で勝利でしたね。

我が家では嫁が勝利したようで、おしゃべりが止まらない。



現職47%に対し新人51%。
これほどの接戦を制すというのは、どんな気分だろう。
現時点で既に就任しているので新大統領であるマイトリパーラさん。
寡黙な印象で、あまり笑顔も見せない。
静かな語り口は前大統領と対照的。

内戦を終わらせるような急激な変革を求められる時期には、
前大統領のような人物が、意外に適任。
もともと権限の強いスリランカの大統領。
それを有効に活用して、独裁とも取れるような強権発動で
国の方向性を決めていく。
これが前大統領一期目の姿。


劇的な内戦終結を奇貨として、二期目に突入。
内戦時の犯罪行為を欧米社会に指摘されて、
頑なな態度をとったスリランカは孤立化。
そこに手を差し伸べた中国。
結果として親中国政権が確立され、
中国支援のプロジェクトが乱立。
ワーカーとして中国から人民流入
政権中枢への中国パワーの食い込み。
一部高級官僚や取り巻き達への利権集中。
その中で連続三期執政禁止条項の廃止。
選挙突入。
落選。
これが二期目の前大統領。


会社でも国でも同じ。
立ち上げる人と維持していく人では、求められる能力が異なる。
権力を集中させすぎて、特権階級とも言えるような層ができてしまい、
そこからあぶれた人には不満が蓄積していた。
教育費削減政策で知識層の離反が起きた。
高等教育を受けた人間は努力や才能でのし上がれる
ある意味平等な社会を求めていたし、
一部特権的な層による寡占支配を良しとしない。
前大統領にとって不運だったのは、
選挙直前に大雨による災害が各地で起き、
対応が後手に廻った政権への批判が高まったこと。


地元に篤く報いた前大統領は、各地方地域では嫌われ始め、
それを巻き返そうと、公務員への取り込み策として
バイクを供与(キャンディだけでも何千台という数)。
それでも負けた。
面従腹背というかなんというか。


新聞社の選挙結果とWikipediaの民族構成マップを
比較してみると

こんな感じ。
赤が新大統領の勝利した県。
なんとなく相関関係がありそうですね。
ただ、スリランカにおいてはシンハラ人が75%という
圧倒的な地位を占めているわけで、
新大統領がタミル社会の支持を得て、その力で当選、
と言うよりは、
シンハラ人の内で、少なくとも3分の1強の人たちは、
前政権で割りを食っていたということか?



もともと同じ政党連合で政務を行っていた二人なので、
政策に大きな違いは無いかもしれないが、
より平等な社会(機会や成果)を目指して欲しい。


スリランカ人の良識が示された選挙。


この選挙で前大統領が勝つようであれば、
世界で唯一「民主社会主義」を標榜する共和制国家としては
立ち行かない。


今後のスリランカに期待です。