同じ会話が何度も

うちの奥さん。
自分でした話の内容をすぐ忘れてしまう。
結果、何度も同じような話を聞くことになり、
「それ、三回目だよ」
ということがしばしば起きる。


さらには、最近学校のほうが色々と大変らしく、
大学の運営に対する批判ばかり。
なんの話をしていても最終的に大学批判へと
移り変わっていく。


そんな状況を教え説き伏せ、
「いい加減にしてくれ」
と、言ってしまった。


すると、スリランカにはこんな話がある、と言って
あるエピソードを話してくれた。
内容は以下。


ある学校で日記の宿題が出た。
先生曰く、
「自分の好きなモノや事について書いてきて下さい」。
生徒の一人が家で飼っている犬について書いた。
「私の家には犬がいる。
 白くて大きな犬。
 とても可愛くて、私達は家族のように大切にしている。
 でも、その犬にはメッコ(ダニとかシラミとか、そんな感じ)が
 たくさん居て、すごく汚い。
 身体を洗ってあげても、他の野良犬からもらってくるのか、
 すぐにメッコが増える。
 抱きしめてあげたいけれどメッコがいるから無理。
 メッコはピョンピョンはねて、家のベッドやソファーにも移ってくる。
 そのメッコのせいで私達も痒くなる。
 なので、そのメッコを・・・・」
こんな調子でメッコの話は延々と続き、
さながらメッコ日記。
これを提出した翌日。
またも同じ宿題が出される。
生徒は記す。
「私の家には犬がいる。
 でも本当は猫のほうが好き。
 家族の皆もそう思っている。
 けれど猫にはメッコがたくさんいる。
 犬は洗ってあげられるけれど、
 猫は身体を洗うのが嫌いらしく、洗えない。
 なのでメッコの駆除が出来ない。
 メッコは・・・(以下メッコ話のオンパレード)」
この日記を提出した日の午後、
生徒は先生に呼び出される。
「好きなモノについての宿題なのに、
 あなたの日記はメッコばかり。
 犬についてとか猫についてじゃなくて、
 メッコばかり。
 まぁ良いわ。
 動物について書くからメッコに話が流れちゃうのね。
 そうだ、動物以外で何か好きなもの無いの?
 その内容で書けばメッコの話にはならないんじゃない?」
先生からアドバイスを受けて、生徒は悩んだ。
「動物以外で好きなモノか・・・あ、そうだ!!」
生徒は机に向かってノートをひろげた。
そして書き始める。
「私はココナッツの木が大好きです。
 あの大きな木は見ているだけで気分がよくなります。
 それにメッコも居ません。」


久しぶりに大笑いした。


なんでも同じ事柄に話を持っていく人がいると、
「あぁ、メッコの話が始まった」というらしい。


この話のついでに聞いたのが、
自慢話をする人のエピソード。


どこの国でも自慢話は嫌われる。
「私の家には大きな冷蔵庫があって、
 テレビもあって、ソファーも・・・」
というのは典型的な自慢話で嫌われる。
なので、自慢する方も考える。
「昨日、うちに大きなヘビがでたの!!
 最初に見つけたのは冷蔵庫の裏。
 うちの冷蔵庫は大きいから、その裏に隠れてたのよ。
 で、イギリスで買った日傘でつついたりしてたら、
 ゆっくり動き始めて、今度は隣の電子レンジに
 移動し始めたの。
 その上に先週買った私のハンドバッグが置いてあったから、
 もう大変。
 車で帰ってきたお父さんを呼んで・・・」
と、ヘビにかこつけて家の持ち物を羅列するという手法。


なので自慢話も「ヘビの話」という隠語で語られる。
「あの人のヘビ話、うざいよね」
という感じか。


いやぁ勉強になりました。
この話を聞いて、イラツイてた気分もどこか遠く。
うちの奥さんの最高の長所は、
細かいことを気にしない事だな。
そのせいで細かいことを覚えていないという現象につながり、
同じ話を何度もするのだろう。
次からは同じ話をされても「メッコの話」を思い出して、
イラツクこともなくなるかもしれない。