カティナにまつわるエトセトラ

地元のお寺さん。
月曜日はカティナ・ウッサバヤでした。
カティナというのはお坊さんにお布施する布のこと(これで袈裟を作る)で、雨安居明けに古い袈裟を脱いで頂き、新しい物に取り替える行事。
雨安居(うあんご)というのは、雨季の期間中お坊さんは托鉢などをせずに一箇所に集まり修行するのですが、それの事。
雨季は生命が生まれ、活動が活発になり、修行のために歩きまわると小動物を踏み殺したりする機会が増えるので、それを避けるために発生したもの。


そのカティナで我々のお寺さんに小坊主さんが誕生した。
以前の小坊主さんは還俗してしまったので、これでやっと次代のお坊さんが出来たことになる。


その小坊主さんが取り仕切る初めての供養が今日行われた。
小坊主さんは九歳。
お釈迦様の実子であるラーフラが出家したのも九歳とのこと(諸説あり)で、「ラーフラは学習第一という尊称で呼ばれるほど熱心に学業を修めたので、それに倣ってくれれば良い」とのお坊さんのお言葉。
で、実際の法事を行った小坊主さんがどうだったかというと、一時間近くに及ぶ法事の間、何度か経典を見ることはあったが、殆どを暗唱した。
しかも今ではあまり唱える人もいない古い時代のお経。
凄い。


その小坊主さん、父親は飲んだくれて他界。
母親は海外に出稼ぎ。
出家する際には、本人の意志は勿論ですが家族の了解がなければできません。
なので、母親の親類が出席して了解を得たそうです。
彼の出身地にちなんだ新しい名前(法名)を付けてもらい、同時にこのお寺付きのお坊さんであることの証明書も作ります。
この2つは弁護士立ち会いのもと、法的効力をもった形で執り行われます。
なので、16歳でIDを作るときにもこの名前。
今のお坊さんが亡くなれば、彼がこのお寺の管理責任者となる。


養子縁組みたいな感覚ですかね。


で、まだ9歳ということで義務教育はどうなるのか?
我が家から4キロほどピリマタラーワ方向に行くと、お坊さんのための学校があり、そこへ通って通常の義務教育とお坊さん用の教育を修めるそうです。


私とは顔なじみというか「アイヤー(お兄さん)」と呼んで懐いてくれていたので、お互いちょっと照れくさい部分がある。
というのも、先日までは「普通の子どもと近所のお兄さん」として接していたのに、これからは「お坊さんと信者」。
彼にしてみれば、お兄さんに頭をなでてもらう立場から、足元に額づく信者の頭をなでる立場に。
それでもしっかりと額づきましたし、私の頭に手を添えてくれました。


色々と勉強になった一日でした。