ダンミカ・ペレイラ氏の提案

ダンミカ・ペレイラ氏の提案を少し見て行きたいのですが、気になるニュースも幾つか出てますので、そちらを見てから。


まずは公務員に対しての週休三日制導入。
スリランカ週休二日制です。
それが財政難を理由にシフト制の週三日出勤になっている。
それを週休三日制にするというのだから、今の状態からすると休みが減る感じでしょうか。
バスの運行が減る中で通勤回数を減らす政策なのですが、正直言ってしまうと金曜日を休みにする弊害のが大きいと思う。
電気や警察など常時稼働する必要のあるサービスは対象外とは言え、金曜日にアクセスできなくなるサービスがあるのは問題な気がします。
今まで通りで良いと思う。
また、5年間の無給休暇も認める方向だとか。


リカーライセンスも観光局に登録した飲食店でのリカー提供を認めるとか。
今までは多大なプロセスとライセンス料、裏金を使った上でのライセンス供与でしたし、毎月の棚卸しも負担が大きかった。
大臣クラスの政治家がライセンス取得している実態から、ハードルの高さは彼らの利益を守る為の為の侵入障壁となっていた。
それを観光局への登録で代替出来るのなら良いことのように思えます。
飲食店での異常に細かい棚卸し(ハードリカーの残量とかを量らねばならない)も、メーカーから卸売りする段階で徴収するように変えれば、随分と簡略化出来ると思うのですが、どうなるか。


さてダンミカ・ペレイラ氏。
彼の提言をもう一度。
01.5年間で外貨銀行預金を50億米ドル
02.観光ビザの有効期間を6か月延長
03.留学生の流出削減
04.留学生の流入増加
05.労働力輸出増
06.直接投資増
07.ICTの活用
08.国際ハブ空港
09.ココナッツの輸出
10.ドル預金口座の開設、運用を開放
11.電力開発の一部開放
12.パームオイル資源の開発


個々の問題点から。
01.
10万米ドルを預金した外国人に10年間の居住ビザを発行するというのが、この提言のキモ。
これで5年間の間で50億ドルの外貨預金の積み増しを狙っているとか。
つまり年間にすると10000人。
来るかね?


02.
現在一ヶ月期限の観光ビザを六ヶ月にする
これは投資が必要ないので良いと思う。
ワタシも数日前に同じような事を書いてますし。
ただ、上の01.と被るのが懸念。
半年であれば10万米ドルの預金も要らないし、01.では無くこちらに流れそうな気がします。


03.と04.
大学を増やし、海外留学を考えるスリランカの学生に学ぶ場を提供。
同じく海外からの留学生を確保。
これは一朝一夕で可能とは思えない。
専門学校を大学に格上げするとか、新規に創設するとか?
または既存の大学の規模拡大ですかね?
いずれも簡単ではない。


05.
外国に出稼ぎに行っているスリランカ人は平均で240米ドルの仕送りをしているとか。
これを1000ドルまで引き上げるのが目標。
つまり単純労働では無く技術者を輸出するようにするってこと。
3ヶ月以内で終了できる訓練コースを作り、終了後にマッチングさせて送り出すようにするとか。
技術って3ヶ月で身につくのでしょうか。
そんなことで可処分所得が700ドルも増えるのでしょうか。


06.
直接投資を増やすために免税機関を設けるなど。
法の支配を徹底するのが先な気がします。


07.
ICT教育を拡充し、スリランカに居ながらにして海外からのアウトソーシングを受けるなど、外貨収入増やす。
まぁ、いずれにしろ可能であればやるべき種類の政策だと思うので、基本は賛成。


08.
ラトゥマラーナとマッタラの空港を国際ハブ化して、利用者を増やす。
どちらも稼働してないですしね。
ワタシはマッタラをパイロット養成学校にでもすれば良いと思ってましたが、ラトゥマラーナでは実際やってるので、二つも必要ないのかもね。
これも賛成。
アフターコロナで航空需要が戻ってくるのが何時になるかという懸念はある。


09.
ココナッツの輸出を殖やす。
良いと思います。


10.
ドルでの支払いをする為のドル口座を開設出来るようにする。
これは前から可能なんですけど、問題はスリランカの外貨口座は受け取り専用で運用させられる事が殆どだったので、ワタシは開設してませんでした。
これは良いというか、当たり前の話として必要。


11.
石炭火力発電やソーラーファームの民間企業参入。
これも良いと思います。
メガソーラーで昼間の電力を確保し、夜は石炭火力。
水力発電はその両方でサポート電源として活用。
揚水発電までは必要ないと思います。


12.
パームヤシの作付を解禁。
ココナッツと競合するのが課題ですかね。
基本的には換金作物なのでココナッツの作付面積減少を危惧して禁止されていた。
なので、解禁してココナッツが減ると意味が無い。
09.との両立も出来ないことになるし。
となると新規開墾ですか?


こんな感じで、個々の提言にも大きな問題点はある。
そしてワタシだけでなくスリランカ国民がモヤモヤするのは、彼のビジネスと提言との関連性。


まずは銀行やファイナンスの事業を大きく展開してますからね、01.と10.はプラスに働きます。
カジノやホテルサービスも、02.や08.と関連性が高い。
教育のビジネスにも着手してますので、03.04.05.07.ですね。
農業資材の会社も持ってますので、09.12.も。


無関係なのは06.11.か?
06.は税金の話ですし、一見無関係な11.は?
シンガーという電化製品の会社を持ってますから、やはり電力の安定化は彼のビジネスに寄与するし、なんなら商社をもってますから石炭もソーラーパネルも輸入する時には一枚噛む事は可能。


と、、、こんな感じでどれをとっても彼のビジネスに繋がるのです。
ただこれには致し方ない面もあって、余りにも彼の守備範囲が広い事が原因。
スリランカ最大の納税者、スリランカ最高の資産家。


あとは、ちょっと楽観視しすぎな数字が提案されてて不安です。


脱線しますが、彼は以前も運輸省の仕事をやっていたことがあります。
なんなら、ワタシは当時の仕事で会ったことがあります。
その時もトレードマークの赤いネクタイでしたね。
まぁ、いずれにしても彼には説得力という力は有るのでね。
頑張って欲しい。