お米の買い取り

知り合いが「米、買いませんか?」と言ってきた。


マーケットを通さずに対面で販売したいと言うことなのですが、以前も買っていて、その時は質も値段も悪く無かったので、今回も購入することに。


「100キロぐらい買って貰えます?」と言う。
親戚にお願いして作ってもらっている田んぼが、今期はあまり作柄が良くないと聞いているので、多めに購入出来るのは有り難い。
なので「取り敢えず、持って帰れるだけ買います」と。


義母がウィールで受け取りに行った。
そして、家に持ち帰ったあとの写真がコチラ。


f:id:monito:20200421111910j:plain


籾の状態ですが120kg。
これでお値段6000ルピー。
つまり50ルピー/kgですね。
お米をスーパーで買うよりもかなり安いですが、これは籾の状態ですからね。
脱穀すれば75%ほどに減衰する。
と、考えたら67ルピー/kgほどなので、極端に安いわけでは無い。
ウィール代、脱穀代を含めれば70ルピーは超えてくる。


70ルピーでも市販の米よりは安いし、これだけ有れば4から5ヶ月は食える。
それに値段というよりは味、安全、安心で購入しているので、問題ない。



で、家ではこれをスティームライスにする。


ここで誤解が生じるので注意しなければならない。
通常、我々は海外の中華料理店とかで「白米」を注文するときに、この単語を発声することになる。


スリランカでも同じ。
中華レストランに行って「白米」を頼むときは「スティームライス」だ。
つまり炊きあがったコメ、料理としての最終型であるところの「スティームライス」だ。


しかし、スリランカ料理においては、その概念は通用しなくなる。
スリランカ料理で「スティームライス」と言う場合は、予備調理もしくは食品加工としての加熱、そして乾燥を施したコメの事を指す。
つまり段階としては素材だ。


まずは籾の状態で手に入れたコメを大釜で加熱する。
ここでも、もう一つズレが生じていて、実際には「スティーム」してはいない。
茹でている。
カップ焼きそばが「焼いていない」のと同じ。
それで言うと北海道には「やきそば弁当」という「焼いてない」し「そばじゃない」し「弁当ですらない」カップ麺があるけど、まぁここでは無視しよう。
ちなみに麺を戻したお湯でスープが作れる「粉末スープの素」が付属していて、体には良くないかもですが、ちょっと嬉しい。


話を戻して、大釜に籾、そして水を入れて、火にかける。
沸騰してしばらくしたら、お湯から揚げて、ゴザなどに広げて乾かす。


これだけ。


食べるには、籾を脱穀する必要があるし、その後は普通に炊飯することになる。


ええ、皆さんと同じです。
ワタシも思いましたよ。
「これって、どうゆう意味があるの」って。


スリランカのコメは臭う」という場合、殆どはこの「スティームライス」なのです。


なので「余計な作業しないで、生米で良くね?」と思う。
臭くなるし、調理時に手間が減る訳でも無いし。
けれど、うちの妻曰く、これはこれでメリットがあるとの事。


メリット
1. 脱穀時に籾殻と少量の糠だけが除去できるようになり、栄養が精白米よりも豊富
2. 1.により、日本で言うところのいわゆる「五分づき」と同じような状態になり、栄養と食味のバランスが良い
3. 腹持ちが精白米よりも良い


こんな感じ。


日本で玄米食を実践している人は、心当たりが有るかもしれませんが、冷めると臭いませんか?
これって、糠に由来する匂いなんですよね。


なので、この「スティームライス」も同じように臭う。
なぜなら、炊飯して冷めたのと同じ状態ですから。
そして、そのニオイを纏ったコメを、再度炊飯するのですから、出来上がったゴハンも臭う。


伝統的なもので言えば、日本で一番近い状態と思えるのは「干し飯」ですかね。
炊飯してそれを乾燥したもの。
江戸時代や戦時中は戦闘携行食として利用していたとか。


この「干し飯」との違いとして、スリランカの「スティームライス」は極小量の熱しか加えていないと言うこと。
肉で言うレア。
パスタで言うアルデンテ?
博多ラーメンで言うハリガネ?粉落とし?


実際、表面にしか熱は入っていない。
なので「干し飯」や「アルファ米」みたいに水に浸すだけでは食べられない。





結局、これって精米技術が低い事から来た「工夫」の部分なのかな?と思う。
微妙なさじ加減で精米出来ないから、色々と試したのかも知れない。
そして、それが今も残っている。


正直、日本レベルの精米機があれば、茹でて乾かすという余計な手間は要らない。
玄米から一分、三分、五分、七分、そして精白米と好きなように出来る。


今まで、何度もスリランカ的「スティームライス」について説明してもらったし考えもしたのですが、今ひとつ理解が出来なかった。
というか、納得できない感じ?


いつも「精米機で精米具合を調整すれば良いのでは?」という疑問が拭え無かったのです。


そして今日になって、やっと気付く。
「そうか、精米機の精度か」と。


なんにせよ、家では暫くはこのお米です。
一ヶ月、家族三人で20キロぐらいですかね?
20キロ×70ルピー。
今日のレートで言うと、日本円で800円ぐらいか。


主食がこの値段で済むのですから、有り難いです。


ちなみに、ニオイに関しては、水から煮ることと乾燥を素早くしっかり行うことで抑えられる。
そして更に言うと、慣れれば気にならないし、もう一段階進むと、むしろニオイが有る事は悪いことではないなと思う。
強すぎるニオイは駄目ですけど。