お米の援助とか無いよ

スリランカの大臣が発表した100万トンの米の援助。
中国は正式に「そんな要請には同意していない」と発表した。


2016年のスリランカ国内米消費量は一人当たり104.5Kgだったらしく、年間総需要は210万トン。
ニュースでも100万トンは消費量の半年分と言っており、ワタシの計算で45%ぐらいというのはそれほど遠くなかった。
そこでも言っていたのはロジスティクスや保管の問題。
現実的では無いのよね、元々の数量が。


これ、そもそも何でこんな事になったかと言うと、先日来スリした王毅外相がラバー・ライス協定という中スリ協定のさらなる推進を確認する書類にサインしたから。
ラバー・ライス協定は1950年代に両国で交わされた協定らしく、米の需要が増えたのに米価格が上昇して困っているスリランカと、さらにラバー(天然ゴム)の価格低下で困っているコチラもスリランカ、そしてゴムの輸入が増えてきていた中国との相互協定。
たったこれだけの文章を見てもスリランカの立場の弱さが見て取れる。
ワタシが中国側なら「ラバーは定額定量で購入してやるから増産しろ」と言う。
米の増産をするのが本来の解決策なのでしょうが、スリランカの事ですから貴重なリソースをゴム産業に回した可能性も大きい。
米の収量を見ると1950年代から微増では有るけれど一貫して増えているし、最近では当時の4倍ほどにもなっているので、何もしなかった訳ではないと思います。
実際、50年代には需要の半分を輸入していたものが、70年代には25%、90年代には5%となっている。


で、このラバー・ライス協定にサインしたことが先の大臣の要望(願望)とごっちゃにされてしまったのかもと考える。
まぁ、こんなにも大事な取り決めを確実な承諾もないままに発表した大臣はアホですが。


それともう一つの問題はスリランカ人は決して米ばかりを食べて暮らしている訳ではないということ。
2021年には142万トンの小麦が消費されてる。
つまり、210万トンのお米と142万トンの小麦が主食な訳です。
そして自給率はほぼゼロ。
食品としては砂糖、ミルクパウダー、魚の缶詰を超えて品目(値段ベース)で一位、この4品目で食品輸入金額の65%なので結構な偏りがあります。
食品輸入金額としては20%を超えます(450億ルピー)。
なので、この小麦のほうが現状としてはルピー安や外貨不足の影響が深刻なはず。


スリランカは米問題をメインに据え置くのではなく小麦問題にこそもっと注力するべきなのです。