年金課税

スリランカ政府はEPFとETFに課税すると官報を発行した。
EPF(Employees Provident Fund=従業員積み立て基金)は企業が給与の12%、従業員が8%を拠出して退職後の生活費とする為の基金
積み立てたお金に対して利子が乗っかって後々支払われたり、これを担保にローンを組んだりできるのですが、年金と考えて大丈夫。
ETF(Employees Trust Fund=従業員信託基金)は企業が給与の3%を積み立てるもの。
こちらも利子が乗っかるのですが、保険の意味合いもあり、角膜移植や心臓疾患などの手術や死亡一時金などの制度もあり、失業保険と同等ですかね。


つまり私企業は雇用者に対して給与とは別に、合計で15%の社会保障の負担があり、労働者は給与の8%が天引きされて年金の積立に廻されている。


EPFの資産規模は2兆ルピーを超える。
ETFは3000億ルピー規模。


この社会保障に対して25%の税金を掛けると言うのです。
ただ、ニュースを聞いて勘違いしている人も多くいるようで、年金受給者の受け取り額の25%を徴収するという事ではない。
今年度限りの法案なのでしょうか?
よく分かりませんが、年次収益が20億ルピーを超える企業や個人からは利益の25%を徴収するという法案があってですね、この対象として二つの基金が取り沙汰されている訳です。
どちらもスリランカ中央銀行にぶら下がる組織ですし、子会社という立場なのでね。
企業には違いないんでしょうけど。
税金も払ってますし。


しかし実際には、EPFの収入は90%以上が国債の利子。
ETFも80%ほどが国債


つまり2兆ルピーの90%と3000億ルピーの80%で合計2.1兆ルピーの国債、それの25%を利払い停止するっていう事と同じ。
今ではおそらく10兆ルピーを超える国内債務があるスリランカ政府(海外に対する債務は別)。
2020年で9兆ルピーぐらいでした。
利払いは7000億ルピー。
これの5分の1、さらに25%。
なので350億ルピー規模の棒引きって感じですかね。
ざっくりなんで、大きく外してる可能性もあります。
確認した会計資料も年度がバラバラでしたので。
で、問題は両社とも受益者に対して利益から利払いをする訳ですよ。
なので本来ならこの利払いを終えた後の残金が利益だと思うのですが、その段階ではどちらも20億ルピーの利益は出てないんですよね、ワタシの調べた感じだと。
投資で得た利益は正しく還元されているという事です。
素晴らしい。


数十年に渡って積み上がった余剰利益を政府が吸い上げると考えれば、時限立法としては「有り」なのかも知れませんが、基金の設立理念とは相反するものを感じます。