スリランカ政府の国内債券

昨日はワタシの財務状況というか、収入を赤裸々に記したのですが、今日はスリランカ政府の状態。

今回は全体像ではなく、国内向けの国債を見たい。

対外債務に関しては一帯一路で話題になるけれど、国内での債務はあまり語られないので、この機会に少し調べてみました。

 

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これはCentral Bank of Sri Lankaのサイトからプレスリリースを一つ一つ見て、作ったグラフ。

2019年の1月から2021年の6月までの2年6か月分の国内向けTreasury Bill(国庫短期証券)の発行状況。

単位は100万ルピー。

順調に増えております。

ちなみに、このTreasury Bill(=T-Bill)は”短期”って言うだけあって、満期は非常に短い。

スリランカの場合は3か月(91日)、6か月(182日)そして1年(364日)で用意されています。

金利は今で5%ちょいですね。

招待されているのは国内の銀行。

短期なので、それぞれは償還されているのですが、実際には長期(10年以上)の国債に借り換えされているだけです。

で、これは、政府が募集を掛けた金額の推移なんですけど、それで調達できているのかどうか気になったので、そちらも一つ一つPDFを拾ってデータを整理。

それがこちら。

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青は上と同じもの。

赤が調達できた金額。

そして黄色が、募集に対する調達の成約率です。

見事に下がってますね。

直近、6/30にあった調達を見てみましょう。

 

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91日満期がRs.7000Mnに対し、Rs.31008Mn応募があり、Rs.26623Mnが成立したってことですけど、これだけ見ると大盛況なんですが、364日満期は、、、。

Rs.15000Mnに対しRs.15000Mn応募はあったけど、成立したのはRs.345Mnのみ。

これ、オークションなんでね。

金利を争ってる訳です。

つまり、政府側が想定したよりも高い金利を要求すると、その応募はキャンセルされる。

応募はあっても成立しないってことは、政府から提示された金利が低すぎたことを意味する。

少しでも短い期間のほうがリスクは小さいので、そちらに応募が集中する。

そして、364日は集まらないので、政府側も仕方なく91日ものにシフト。

予定を超えて成約させている。

これ、三か月後には金利を付けて返す訳なので、9月までに歳入が無ければまた国債発行して借り換えすることになる。

そして、9月は9月でお金が足りない。

今回の元本に金利を乗せて、9月に必要な本来の金額をプラスして募集って流れなので、募集額は雪だるま式に増えていく。

 

 

オークションが成立しないってことは、銀行側はもっと高い金利を要求している訳です。

ちなみに大手銀行の定期三か月ものの金利は4.5%ほど。

例えば集めた預金で同じ金額の国債を買えば、0.68%の利ザヤが得られるってことです。

それでまた長期国債に鞍替えすれば、金利はプラスで1~4%ぐらい上乗せ。

 

 

短期国債の応募額(発行額ではない)が増えているのは、現実として国庫に余裕がないことも在りますが、借り換え要因も大いにある。

長期国債にすると金利が高くなりますからね、短期で調達を繰り返したほうが有利なんです。

 

 

先週の大統領演説で2020年度の政府歳入が1兆3800億ルピーだったと報告されている。

ワタシが計算したところによると、2020年度の長期国債の発行額は8925億ルピー。

短期国債は1兆3093億ルピーで、ほぼ歳入と同じっていうね。

これって、実際には4000億ルピーぐらいしか徴税できてないってことでは???

歳入の75%は国債、、、。

違うよね?

歳入とは別枠でしょうか?

だとしたら徴税歳入とほぼ同額の国債を発行、、、。

政府のアニュアルレポート見てないし、わかんないです。

 

 

どちらにしろ、この半年で2019年と同等額の長期国債を発行しており、債務が激増しているのは間違いないですね。