正体不明の肉

昨日買ったマトン。

Mutton Gutkhaという表記だった。

調べると膝下の肉。

つまりスネ肉ってことですね。

生産国がオーストラリアなので、いわゆる羊のアダルトですね。

「マトンなのだから羊に決まっているだろ」とも言えないのが、実に難しいところ。

 

南アジアでは「マトン」がヤギ肉を表すことが多い。

実際、スリランカでもマトンはヤギです。

 

世界でのヤギと羊の飼育を一言で表すなら、途上国はヤギで先進国が羊。

 

ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、などなど。

羊がよく似合います。

 

ヨーロッパ人は子羊を好んで食べる。

そのため、ラムとマトンという区分を作った。

南アジアに羊肉食の文化を持ち込んだのはイギリス人でしょう。

ラムばっかり食べて、マトンはあまり食さなかった。

翻って、現地の人々には仔山羊を食べる文化は無かったと思う。

小さいうちに食べてしまうというのは、単純に生産効率が悪いですからね。

ラムばかり食べるイングランドの人を見て、羊=ラムと言うのはつながる。

現地の人がいわゆる羊のマトンを食べたときにヤギ肉と似ていることに気づくと思う。

そして羊の大小でラムとマトンとを呼び分けるという本来の意味からズレて、羊とヤギの両方に対してラム・マトンの方程式を当てはめたのだと推察する。

そしてラムとして子羊や仔山羊を食べない現地の人たちからすると、ラムという言葉は廃れていく。

そしてマトンという言葉だけが残り、それは即ち羊と山羊の両方を指す言葉となった。

そんな感じじゃないかと思います。

 

これに対して「欧米人が南アジアに行くと混乱するから正すべき」と極論を唱える人がいますけど、言葉っていうのはそうゆうもの。

「郷に入っては郷に従え」ではないけれど、他所の人間がとやかく言うことではない。

 

例えばミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ。

これをどこの部位か判ったうえで食べている人がどれくらい居るのか?

店員さんは知っているかもしれないけれど、じゃぁそれをアメリカ人に説明するとして、どうやって?

そもそも内蔵をあまり食べない文化。

そうゆう人たちは、4つある胃袋の何番目かなんて気にして無いと思う。

ヤギ・ヒツジが両方ともマトンだという問題も、そもそも南アジアに羊はほとんど居ないという事を知っていれば解決する。

そう、基本的には南アジアでマトンと呼ばれる肉はヤギ肉です。

良い学びですね。

まぁワタシが今日食べたのは羊肉ですけど。

 

その料理。

塩ゆでです。

モンゴルではチャンスンマハ、中国の内モンゴル自治区ではシュウパウローと呼ばれるもの。

本当はニーファというエジプトで食べたヤギ肉の煮込みが食べたかったのですが、どう作れば良いのか解らない。

ネットによれば単純に塩だけで煮込んだものと記述してあるのですが、謎です。

バラとか内蔵とかも一緒に使って、さらには一度ローストしてから煮込むとかそうゆう事だとは思うのですが、我が家では無理そうです。

で、結果として塩煮込みではなく塩ゆでみたいな感じに。

一度鍋で煮てアクを取ってからは炊飯器で保温。

たまに再炊飯のボタンを押して半日。

 

味付けは塩だけですが、最高に美味しい。

これ、マトンが苦手とか買えないって人が居たら豚肉で良いのでやってみて欲しい。

 

手間の掛け方と出来上がりの味が、逆に噛み合わないというのはこの事。

大きな肉で骨付きなら最高ですけど、骨なしでも良いです。

是非。