マタカバナ

亡くなったお婆ちゃんとは、個人的な面識は殆ど無い。
家には居たけれど、あまり店の方には顔を出さなかったし話す機会もそれほど無かった。


でも毎日のように通うお店なので、お葬式に出れなかったことが申し訳ない。


今日、お詫びをしに行った。


家族は、そんな事はどうでも良いと言ってくれた。
しかし、お葬式に出られなかった代わりに今夜のマタカバナと明日のダーネには出席して欲しいと言ってくれた。
よく判らないけれど、モチロン参加。


夜7時。
教えられた時間通りに行くと、既にマタカバナが始まっていた。
要は、お坊さんの説法を聞くんだけれど、その説法を聞くのは家族や親類がほとんど。
他のご近所さんや知り合いは、お茶を飲んだりゲームをしたり久しぶりに会う友人とのおしゃべりを楽しむ。
俺も、説法は遠慮してゲームやおしゃべり。


ワイワイと楽しそうだけれど、ご近所さんは大変らしい。
葬儀の準備のほとんどは近所の仲間が取り仕切るらしいのだ。
色々な手配、食事の用意、訪問者の受付などなど全て。
家族は故人の冥福を祈ることに専念できる。
故人の功徳になるという事で、訪問者には食事や噛みタバコ、お茶などが無料で提供される。
ダーネと言われているものだ。
なので、葬儀の期間中は訪問者が絶えない。
自然と食事の用意も膨大な量になる。
下世話な話だが
「お金とか大丈夫なのかな?」
と思ってしまった。
どうやら、積立をして近所で助け合っているようだ。


夜も9時を回ると人が減っていく。


こちらも10時に帰宅。
3時間、質問攻めで疲れ果てた。