月夜の晩に

登山開始は丑三つ時。

街灯が山頂までの道を示してくれている。


山頂での丑の刻参りは無理だけど、藁人形の代わりに鐘を打つことは出来る。
スリパーダの頂上には鐘が吊るしてあるのだ。
登った回数のみ鳴らすことを許された鐘。
初登頂なら一回、二回目なら二回だ。


今日は本当に素晴らしい満月。


山岳特有の強い風で、雲が飛ばされてくるのだろう。
煌々と闇夜を照らす満月も時折遮られて、その輝きを弱める。
ふと大江千里(『格好悪いふられ方』ではなく『おおえのちさと』)の和歌を思い出した。
『おぼろ月夜』と表現するには、儚さが足りないが。






とまあ、登山と関係ないことを書きだしたのには訳がある。


理由は簡単。




そう。










結果、登れなかったから。







いや、残念。


ホントに、もの凄い大混雑だったのよ。


途中からは、階段を一段登るのに一分。
あんな足場の悪いところで将棋倒しにでもなったら命に関わるということで、断念。
冷静で的確な判断だと思います。


登りたければ、また来ればいいのさ。
任期も延長になったらしいし・・・。