日曜日の出来事

その日はインド4チームとのコロンボカップ二日目。


朝7時半集合ということで、通常はバスで行くところを
贅沢にもスリーウィーラーで行くことにした。
最寄りのバス停で客待ちをしていたウィーラーを捕まえ、
目的地を告げる。
その時点で私はおよそ500ルピーほどの長距離客。


燃料が心許無かったのだろう、走り始めてすぐに給油所に突入。
客を載せたまま給油するなんてことは日本ではありえないけれど、
スリランカでは日常の風景。
雨が降ったら傘をさすってぐらい日常。


すぐに給油も終わって再始動。
無駄口も叩かず、ほぼ最短のルートで目的地を目指す。
悪くない。


朝から「マッサージ?」「マリファナ?」などと
変なちょっかいを掛けてくるウィーラーも多いので、
それが無いだけでもありがたい。


サッカー場についたのは7時過ぎ。
一番乗りです。
金額は420ルピー。
財布から520ルピーを出して、お釣りをもらう。
100ルピーのお釣りが出てくるはずなのに、
なぜか彼は財布ごと俺に手渡す。
意味がわからず、ポカンとしていると「中を見てくれ」
と運転手。
言われたとおり財布を開くと、レシートが一枚。


それだけ。


「お釣り無いの?」
  「さっきの給油で全部使ってしまった」
「・・・。ポケットにも無い?」
  「今持っているのは、500ルピー一枚と20ルピー一枚だけ」
「・・・それって、今自分が渡したお金でしょ?」
  「・・・はい」


近くの店で両替しようにも、そこの店でも小銭がない。


仕方ないのでウィーラーのおっちゃんと気の乗らない記念撮影して、
「あした返してね」
  「今日乗ったところに毎日いるから。必ず払うから」
という言葉を信じた。


今日になってやっと出会えた彼は、
「今日会うと思ってなかったから、今は手元に20ルピーしか無い」
といった。


ぶん殴ってやろうかと思ったけど、
そのバカさ加減に笑ってしまった俺の負け。


「明日でいいよ」といってバスに乗った。


自分の精神状態が良いからなのか、慣れただけなのか、
はたまた諦めの境地なのかわからんけど、
憎めないバカが多くて、なんだか和むわスリランカ