個人所得税率

先日の税制改正で、個人所得税の税率も変更された。


これまでの税法では、月あたりの課税控除上限が100,000ルピーでした。
つまり一ヶ月の給与所得が100,000を超えると課税されますよってこと。
其のときの税率は4%。
以降、月の所得が50,000ルピー増えるごとに4%ずつ課税率があがる。
最高税率は24%で、その時の給与所得は月額350,000ルピーとなってました。


年収額でまとめると
0-1,200,000  0%
1,200,001-1,800,000  4%
1,800,001-2,400,000  8%
2,400,001-3,000,000  12%
3,000,001-3,600,000  16%
3,600,001-4,200,000  20%
4,200,001-       24%


こんな感じでした。


それが1月から変更。
課税控除上限が月額250,000ルピーになり、税率が6%になった。
これを年収ベースでまとめると
0-3,000,000  0%
3,000,001-6,000,000  6%
6,000,001-9,000,000  12%
9,000,001-       18%
こんな感じになります。


例えばこれを年収1,000万ルピー(円換算で600万)で計算すると、以前なら総額1,725,000ルピーの支払いでしたが、来年度からは725,000ルピーとなる。
大幅に減税されますね。
ですがまぁ、こんなに稼いでるスリランカ人は人口比で1%もいないから無意味。


会社経営者とか極々一部の医者(これも個人ビジネスをしてる人)、あとはスリランカ在住の外国人とかでしょう。
で、実は外国人には別の税率が適用されるので、これも関係ない。
控除上限が、半額になるのかな確か?


それでは年収100万ルピーで計算するとどうなるか?


両方共に課税額ゼロなんですね。


年収100万ルピーってことは月収で84,000ルピーぐらい。
これにしたって、そうそう居ないですね。
ちょっと古いですけど2016年の調査では、スリランカの平均月収が33,894ルピーとなっていた。


平均ね。
アホみたいに稼いでいる企業家が平均を大幅に引き上げていることを考えなければならない。
なので中央値で見てみましょう。
すると、一気に下がって23,260ルピーになる。
所得上位10%の中央値で見ても91,314ルピー。
人口2000万人のスリランカですから、収入で並べて、100万人目。
これでも課税対象になりません。
なりません、どころか課税対象額の半額=12.5万ルピーにも満たない。


いったい何人の人が課税対象になるのか?


これを書くのに、スリランカ統計庁の資料を見ていたのですが、ジニ係数も乗ってました。


ジニ係数とは、所得の不均衡を示す指数。
0から1の数字で表せます。
0は、全員が同じ収入で平等な社会。
1は、集団の中で一人がすべての富を独占している状態。


我がスリランカは0.5。


0.4で社会騒乱発生レベルと言われ、0.6だと暴動の起きるレベル。


ちなみに世界で一番平等なのはスウェーデンで0.23とか。
逆に不均衡なのは南アフリカで0.6超え。


今年はタイが世界一不均衡な国になったと聞いている。
上の情報は少し古いんです。
数年で大きく変わるって事もないでしょうけど、参考程度ね。


ということで、個人所得税の減税措置についてでしたが、実際のところ税収にほとんど変化はないでしょう。
だって、課税対象になる人が元々極少数だったのだから。
それでも減税対策したというイメージは大きい。
消費税減税のほうが税収に対するインパクトはデカイけれど、ここで減らした分を別のところで増税することでしょう。
それがいつ頃になるか。
その時期によって、スリランカ経済の方向性が判断できる。


それはまたのお楽しみ。