フランス代表の差別発言

サッカーのフランス代表の二人(バルサ所属)が、過去に来日した際に撮影した動画が話題になっている。


プレイステーションを宿泊先の部屋で楽しむために、その機材設定をホテルスタッフに頼んだのですが、設定に苦労するスタッフを侮蔑する内容。


実際にどう判断するかは個人に任せますが、経緯を少し説明。


自分の携帯で撮影したようですが、それが回り回って流出。
イギリスのニュース番組が、許されざる差別だと報道。
話題になった後に、誤訳があったとのカウンターが出ますが、フランス語ネイティブが逆に差別認定する動画も出始め、カオス。
当の二人は謝罪をするが「ワタシは全ての差別に対して反対の立場を取る人間」という回答に被せるように「チンチャンチョン」と東洋人を揶揄しているかのような動画がアップされ、その信用性は地に落ちる。


フランス人が差別的なのはよく知られた事実。
彼ら(フランスを含むヨーロッパ諸国)がアフリカやアメリカでやってきた歴史的事実を見れば良くわかる。
後にフランスは旧植民地からの移民を積極的に受け入れるが、これは別に博愛主義的な考えに改めたからではなく、単に労働力として受け入れたに過ぎない。
旧植民地から受け入れれば言葉の問題を排除できるので。
この後に多くの差別が生まれる訳ですが、今では黒人の割合が多くなりすぎ(5人に一人)、次の段階に進んでいる。
次、と言うのは「イスラム差別」です。
中東の政情不安からEUは人道的配慮として加盟各国に中東からの亡命者を受け入れるように強制した。
もちろんフランスにも大挙して中東出身者がなだれ込み、フランス語が話せない彼らは黒人が受けた以上の差別を受けていた。
当の黒人も差別する側に立っている場合もあり、始末が悪い。
今回のサッカー選手の一人もアフリカ系のフランス人だ。


外国に住んでいて「差別をされた事は無い」と言う人が居ますけど、それはよっぽど恵まれた立場で滞在していたか、鈍感かのどちらかと思う。
表面上では差別されてなくても、その地の文化では差別にあたっていて、それに当人が気づいてない場合もある。
気づかなければ良いと言う話では無いんですよね。
ただ、難しい部分もある。
例えば外国人が身近に居ない環境で育てば、初めて見た場合にはビックリまたは興味津々なんて事も起きる。
これは差別ではないよね。
しかし、その地の文化や歴史的背景を知らないと「差別」と思ってしまう場合もある。


今回の件が差別かどうかは個人の見解に任せるとして、ワタシは「今どき差別をおおっぴらにするとか、バカなの?」と思う。
人種差別、男女差別。
心の中でどう思っていようが、それはまぁ良いよ。
「そんな事は考えては駄目だ」と言っても考え方なんて変えようが無いんでね。
だけど、こんだけメディアで叩かれる人が居るのを目にする機会があるのに、まだ差別を肯定したり誤解を与える行為をしたりするって、危機意識が足りないよね。
思っていても表に出さない。
表に出すなら理論武装する。
それぐらいの知恵は必要です。


「白人の脆弱性」という本では「白人は生まれる前からレイシスト」という強烈な言葉が出てくる。
これは多くの西欧型先進国(特にここではアメリカ)は「白人、男性、異性愛者、健常者、中上流階級」という属性を持つ人たちが、社会階層の上位に君臨していると言う。
この中でアメリカで特異的な影響力を持つのは「白人」という属性。
それ以外の属性はほぼ全ての国が当てはまっちゃうからね。
アメリカは白人と有色人との構造的な分断があるからだと著者は書いている。
ちなみに著者は白人女性。
彼女自身も、女性と言う立場では抑圧されていたとしても、白人として生まれながらにして(もしくは生まれる前から)有色人よりも優位な立場にあり、当たり前のようにその特権を享受しつつ、被差別主義の「良い白人」だと自認している。
法を守る黒人に労働のチャンスを与え、善良なヒスパニックには国籍を付与し、優秀なアジア人には大学進学の枠を割り当てる。
アジアに住んでいたことがあるのでマイノリティーの気持ちは理解できると寄り添い、黒人の親友が居るからと仲間意識を醸成し、自身もアメリカ移民の子孫だと苦労に共感し、自分が差別主義者であることは認めない。
白人でありさえすれば、例え表立って法を守らなくても善良でなくても、そして優秀でなくても優位な立場に居られる。
WASPのまんま。


翻って日本人はどうか?


日本人の差別意識の対象は、主に中国人や韓国人などのアジア人に対して発露される。
理由は明白。
過去に優位な立場として統治していたから。
西欧諸国と同じ理由です。


今、中国が横柄な態度をスリランカでとっているのも同じ理由。


数十年後にアフリカが奇跡の発展を遂げ、大きな力を持つようになれば、今度は逆の状態になるだけ。
数千年後の未来。
国際結婚で人種が混ざり合い、見た目の相違が緩和された時代なら、肌の色による差別は無くなることでしょう。
ブラジルが良い例。
表立っての差別は少ない。
まぁそれでも白人系のほうが黒人系よりも裕福だし、アジア人種(さらにマイノリティーなグループ)全体への差別はある。
つまり、数千年後の世界でもマイノリティーに対する差別は残る。
それが人種なのか、肌の色なのか、身体的特徴なのか。
はたまた性別、収入、職業、年齢、健康状態、居住エリアなのかも知れない。
現代では差別の対象となっていない事柄も、その頃には違うかも。
使用言語や知性、運動能力。
今の日本ではニートの肩身が狭いけど、その頃には働いてるやつは馬鹿にされるかも。
「働いたら負けだと思っている」の世界が来るかも知れない。


結局はマイノリティー側は抑圧されるのです。
無くせないよ、これは。
ただ人間も賢くなって来てはいる。
なので表立って差別を繰り広げる人は損をするという体制を整えて、さらに制度上の差別は撤廃する。
それで良い。


ただ、それが最大多数の幸福に繋がるかどうかは別の問題。
だって結果としてマジョリティ側の優遇が減るからね。
彼らの幸福度は下がるよね。


男女平等の問題でも同じ事が起きてる。
男女平等がここ最近で進んでいる西欧型先進国では、当の女性の幸福度が下がっている。
日本は、女性の幸福度が増えてます。
ちなみに男性の幸福度は、西欧では増減なしなのに対して日本は減少。


平等を進めた結果、西欧ではトータルの幸福度は下がり、日本では女性が増えた分
男性が減った。
面白いね。
どこの国も上手くハンドリング出来てない。


長くなりましたが、熱くなりすぎないで上手く渡り合って行くのが良いと思います。
その為には差別的な言動は表に出さず、他人に意識改革を押し付けない。
家族に差別主義者が居れば、それは気の毒ですが、知り合いレベルなら縁を切るほうが良い。
熱くなるのは、自分の大切な人が差別された場合だけで良いでしょう。


結局、ワタシの意識はそんなとこです。
差別主義者では無いけれど、自分の人生を賭して差別を無くすってほどでもない。
差別の現場を目の当たりにしても、命がけの対応は出来ない。


だって、無知で無教養な人間に対してムキになっても苦労するだけでしょ?




そのとおりだ!!って思いました?


気をつけましょう。
これだって、状況によっては「無教養者差別」って言われるかも知れませんから。