久しぶりの任地

隊員に与えられた時間は24ヶ月。
そのうちの三週間ほどを入院に費やしてしまった。
退院後の首都での療養を含めると40日。
やっと帰ってきた。


しばらくぶりの長距離バスで体力を奪われ、
バスの乗り換えを避けて、スリーウィルで活動先のオフィスに横付け。
オフィスの前で会った近所の顔見知りが発した一言目は
「日本は良かった?」


良くあることだが、スリランカ人はしばらく会っていないと日本に帰ったと思うようで、
「いや、帰ってないよ」


そこにやって来た別の知り合い
「違うよ、日本で入院してたんだよな」


たいして話題の無い田舎の生活。
ランカ人のいつもの思い込みでは無く、どうやら俺のことが噂になっていたらしい。
しかし毎度の事ながら、正しい情報は伝わらないのが基本。
心配してくれるのは嬉しいけど、明日から何人に同じことを聞かれるんだろうと考えると、ちょいと凹む。


オフィスの人間たちには、さすがに情報が伝わっていたらしく、
「もう大丈夫なのか」
「無理はするな」
「水を飲め」
「三回目には気をつけろ」
などなど、優しい言葉を掛けてくれた。


作業場ではデザイン隊員がキャンドル作成にいそしんでいた。
俺の居ない間に、次なる製品として白羽の矢が立ったらしく、
クレヨンで色付されたパラフィンが散乱していた。
キャンドル作成には詳しくないけれど、お手伝い。
「え?食品はどうするのかって?」
やりますよ、ちゃんと。
でも、もう少し待ってね。