一年ぶりの仏歯寺

キャンディが誇る世界遺産『仏歯寺』。


『がっかり世界遺産』の一つにも挙げられるかもしれない。
観光を主目的に据えて、入場料を払った場合はそうなるかもね。
壮大な景観だとかは無いし。
それでも緻密な木工や石工の技術は見るべきものがある。
でもまぁ、そんだけ。


なので、観光で行くとがっかりするというのは理解できる。
自分も正直、そう思う。


しかし、今なお人心を集める信仰の対象と考えた場合、
少し表情が変わって見えてくる。




無事にレジデンスビザが取得できたことに対する感謝と、
我が家での問題が収束することを願って、仏歯寺に。
家の庭から花を摘んでお参り。
せっかくビザのコピーと、念の為にパスポート自体も持っていったのに、
セキュリティーチェック無し。
何のために、ここ数カ月来ないで居たのか・・・。
観光客として入場料を払いたくないからなのに。
この辺りの管理はしっかりやらないと、お金を払った人も
払わない人にも両方に不満が残る。
まぁ、いいや。


で、仏歯の収められた箱の収められた部屋の収められた建物に。
マトリョーシカのように厳重に守られてます。


花を供え、床に座って手を合わせる。
ここ数日の色々なことが脳内を巡り、そして消えていく。
周囲の音や人の気配も消え、ただ自分のみが存在する。
何分ぐらいそうしていたのか・・・。
心のイライラは消え、心が落ち着く。


昔から宗教自体にはあまり興味が無い。
でも宗教の歴史とか、システムには興味があった。
でも、最近はちょっと心変わり。
依然として宗教自体とか生臭坊主は敬愛の対象ではないけれど、
人々が一心に祈りを捧げる場所や対象物には何らかの力が宿っているのではと
考えるようになった。
ランカで言えば、ここ。
仏歯寺の中心。
こうゆう場所は、なんだか快適で居心地が良いのだ。


ここでは、うざいスリランカ人も別人のようになる。
観光客の多い場所ということもあるし、自分にあからさまな興味を示す人も
少ない。
あれ?
だから、快適なのかな?
ウザいランカ人が居ないから快適?
・・・。


俺の信仰心は消えてなくなりそうです。




ま、理由がなんであれ、居心地がいい事には違いはない。
仏歯へのお参りを済ませて、オイルランプに火をつけたり、
お線香を炊いたり。
あとは隣接するヒンドゥーのデーワーレにもお参りして、終了。


同時に雨も降りだしたので、買い物をして家へと帰る。


奥さんが、
「静かで落ち着くし、毎週一回ぐらい来れると良いね」
と言った。
確かに落ち着くけれど、月に一回ぐらいで充分だと思います。