教員によるストライキ

久しぶりに大きなストライキが発生中。
全国の教員によるストライキです。
ここまで大きなのは、今の政権に移ってからは初めてでしょう。


主張は色々とあるようですが、基本的には一点。
「過去の賃上げ交渉で決定された給与を支払え」と言うことに尽きる。
このコロナ渦でオンライン授業を実施せざるをえない教員たちは、自分自身でインターネット接続費用を支払っている。
金銭面での負担は増加しているが、このネット接続に関しては国会で未だ議論中との事で、今回のストライキでは主張内容に含まれてはいない。
というか、含まれてはいるけれど本筋では無いと言う感じでしょうか。
以前に決定した賃上げ分が支払われれば今ほど苦しくなくなるので、なんとか生活できますしね。


コロナでは医師がストライキ突入宣言をしたことで賃上げに成功し、続いて看護師も同じ手法で成功。
今は教員で、続いて公務員もストライキ突入を目下準備中。


教育環境に驚くほどに地域差があるスリランカ
都市部ではネット環境も整い問題なくオンライン授業が受けられる環境似合っても、地方では庭に出てオンライン授業を受ける子どもたちがいる。
室内では電波が弱いとの事。
それがさらに僻地に進むたびに、授業を受ける高度が変わる。
木の上になり、屋根の上になる。


こういった映像は頻繁にニュースとなり、教育格差を是正する目的で、地方への電波塔建設に予算が付けられた。


ドル不足による輸入制限で携帯電話は値上がりし続けており、これも教員の生活を圧迫する要因の一つになっている。


ストライキは国民の権利とは言え、それでとばっちりを受けるのは子供たち。
さらにはストライキ中に警察が設置したバリケードを撤去する際にもみくちゃになり、警官が指を失った。
これにより数名の教員が逮捕されたが、これに対し「単なる過失で逮捕はおかしい」という論調も見られる。
ワタシからすれば「過失」であっても「過失致傷」だし「未必の故意」があったと思うので妥当だとは感じる。
逆に、こうなることも想像できない人が教員をしていることの方が怖い。
Aレベルと呼ばれる習熟到達度判定試験(日本で言うセンター試験大学入学資格検定)の日程が発表されたにも関わらず、試験の準備はされておらず、全国の教員はコロンボに集まり、コロナ渦での数万人規模の密集状態を作り上げ、聞くに耐えない罵声を発し、挙げ句は警官を負傷させる。
子供がこれを見ることを想像できないのでしょうか?


確かにスリランカの公務員や教員は薄給です。
しかし以前から教員は副業を許可されていたし、主に専門学校卒で勤務時間の短い教員は、民間と比較して給与が低いことは仕方のない事だとも思う。
大卒で公務員となったワタシの妻と比較しても特に低賃金と言う訳でも無い。
勤務時間が短いにも関わらず、ね。
その妻と同じ境遇の公務員もストライキを準備中ですが、ワタシからすれば正直言って「なんおコントですか?」って感じ。


スリランカでは大卒者は希望すれば公務員になる事が出来る。
これは高学歴の人間を国内に囲い込むためのもの。
産業育成に失敗しているこの国では仕事が無ければ海外に行くことになり、知識層の流出になってしまうのでね。


ここ10年ほどで大学の設置数が増加し、それに伴って大卒者増えた。
でも公務員のポストは限定的で、空きがない。
公務員になることを保障しているにも関わらず、就職浪人のような形で待機させられ、もはや大卒者の公務員採用は選挙の道具になっている。
今回の妻の就職も2年ほど待機させられた後の選挙対策
日本ならというか、他の国なら便宜供与で公職選挙法違反になるでしょうね。


何度かのストライキを経て2020年3月に採用された妻の同期たち。
「政府が保障するはずの就業機会提供しろ」と言ってた訳です。
そして就職できたのですが、コロナで仕事にならなかったと言う事で政府側が勝手に契約を破棄し、2020年9月からという書類を新たに作成しサインを強要。
しかもトレーニング期間中とのことで一年間は給与が3分の2に抑えられている。
まともなトレーニングは提供されず、実質は賃金を安く抑えた何でもさせられる若手職員と言ったところ。
法律で定められた有給休暇は利用できず、傷病休暇も無い。
これに対し、スト敢行をちらつかせる新規就労者。
要求の一部は合意達し、休暇の一部は認められる事に。
今は2020年3月から9月までの待機期間中の給与を払えと要求している。
本来ならトレーニング終了で2021年3月から増えるはずだった給与の支払いも要求してます。


もう、お互いアホでしょ?


「仕事は保障しますんで、海外とかには行かないで」という政府。
なのに仕事を提供せず選挙に利用し、契約しても一方的に破棄して、内容変更して再契約させる。


その一方、「仕事をさせろ」と言って契約したのに「休みを増やせ」と言い、今では「給与を増やせ」という大卒者。
まぁ、こちらにはある程度の正当性はありますが。


なんにせよ、今のスリランカはワタシが知ってる中でも最悪の政府なのは間違い無い。