オリンピック

ニュースで見るオリンピックのロゴは2020を示していたので、期間中は今が2021年だと忘れてしまう感覚がありましたね。


感染拡大を厳しく報道し、無観客での開催を批判した後にメダル獲得を喜ぶマスコミには違和感があると言うコメントも頻繁に目にした。


期間中、見たのはサッカーだけでした。
オリンピックというよりはU23のワールドカップを見ている感覚。


ワタシは元々オリンピックの是非には興味が無かったので「サッカーやってるなら見よう」ぐらいのスタンス。
なので「コロナ蔓延で緊急事態宣言が出ているのにオリンピックは良いのか!!」とか「オリンピック批判をしてるのにメダル獲得に『おめでとうツイート』をする政治家はダブスタだ」とか、「開催には反対だけど『やるなら応援する』とかいう意識では賛成しているのと変わらない」とかの意見には共感できなかった。
どれも一理あるし、だからと言ってそれで「目からウロコです」ともならない。


誰に対して言ってるのか、何に文句があって批判をしているのかが実際には判らないので、オリンピックを口実にしているのだけかもしれないし矛先がずれている可能性もある。
判らないことだらけで、未だに文句を言ってる人には正直「凄い情熱ですね」と思うだけ。


批判ありきでは公平な意見というのは担保できない。
ワタシもここで色んなことに対して批判を書いていますが、それの殆どは自分の感じた違和感や不快感を文字に起こして素因数分解するためのもの。
批判したくて書いてる訳ではないので、そこが違う。


大手メディアでは「オリンピックの費用が3兆円超え」などと言っているのもおり、これは内容が的外れだと思った。
多分、批判ありきで書いたんだろうなと思わせる記事。


いくつか気になる点をピックアップする。
1.オリンピックを機に感染者が急拡大
2.東京都と政府の負担金は2兆7500億円で、国民一人当たり1万円強
3.組織委員の赤字補填やコロナ対策で追加費用が発生し、全体での総費用は4兆円を超える
4.日本が獲得したメダルで換算すると一枚あたり690億円
5.観客収入見込み900億円は20億円に
6.レガシー効果は12兆円から大幅減


記事自体は増税を懸念していると締められてました。


まずは1.ですが、オリンピック前後で比較して急拡大と言うのは事実なのでしょうが、こきでそれを書くにはオリンピックを開催していない他国との比較をしなければ本当にオリンピックが理由なのかが判らず、はっきり言ってこれはミスリードだと感じる。
データは正しいけれど、自分の意見に沿ったものだけを示しているとしか思えない。
スリランカも同じ時期に急拡大してます。
オリンピックのせいとは思えません。
日本での急拡大は、オリンピックが要因の一つには成り得たかもしれませんが、これは随分と飛躍した、そして卑怯な書き方だと思います。


2.は、いつもの論調ですね。
マスコミの好きな書き方「国民一人当たり」構文。
これを書くなら、マスコミ一社当たりのオリンピック特需金額ぐらいは並列で書いてほしい。
国民一人当たり1万円強のお金を燃やしてしまった訳ではなく、建設費用や宣伝広告費として消費されてる訳で、誰かの収入になっているのだから良いのでは?


3.これも上と同じ。


4.ゲスの意見


5.これは見込んでいた収入が得られなかっただけで、追加の支出ではないので赤字補填できませんという内容。
数字自体は上の支出金額をプラス側に押し上げる事が出来なかったという説明内容であって、別で章立てする書き方をしているのはおかしい。
書くなら最初の全体費用のところでチケット売上が得られず赤字縮小が望めなかったと書くのが公平中立な書き方だと思う。
あと、チケットの半数は日本国民向けの販売なのですから、そこに使われなかったお金は別の国内消費に向かうだけで、それこそ国内販売の450億円がJOCという一つの組織やIOCという海外の組織に流れることなく、幅広く国内消費に廻ることになりプラスの影響なのでは?


そして6.。
レガシー効果とは、今回で言えば「オリンピックレガシー」ですが、オリンピックのような大規模イベントを機にインフラや社会構造に投資し、それが数十年単位で経済的社会的影響を与え続けるという意味。
例えばスタジアム建設、新規鉄道敷設、通信システム刷新、都市計画などと考えるとわかり易い。
あとはスケボーとかがオリンピックを機にメジャーになってスケボーパーク整備が起きたり、スケボー関連消費が励起されるとか、マイナーな国の選手が有名になりそこへの観光需要が増大するとかも含まれる。
この記者は、観光関連や国際ビジネスにおいて期待していたほどの効果は得られないとしている。
オリンピック観戦で来た人が落とすお金の事を言っているのではない。
その後に、その観光客が口コミなどで日本を宣伝してくれて、継続的に観光客が訪れてくれるようになることを言っているのだとは思う。
実際にオリンピック観戦で落とすお金に関しては
レガシー効果とは言えませんからね。
その趣旨で言えば、確かに一理ある。
実際に訪日した人の口コミと言うのは宣伝効果が高いので。
ただ逆にいつもはオリンピックを観ないって人がステイホームで観たよっていう効果は期待できただろうし、開催するのに掛かった費用と別でコストを計上した訳ではないので、いわば副次効果。
そもそも開催しなければゼロなので、大幅な減少であってもプラス効果は残る。
そこの効果算出はされてませんでしたが。




政府支出に関しては別の話ですが、東京都は金持ちの自治体なのですが今回の事で金庫は空っぽとの話。
これ、悪いことなの?
溜め込んでた留保金を吐き出させたのだから経済効果があったと言うことでしょ?
東京都民はオリンピックを歓迎していないのに無駄な費用が発生したとか言うけれど、東京都の整備に使われた訳で、自分たちに還元された事は間違いない。
スタジアム建設なんかしても自分には一銭も入ってこないと言う人がいるかもしれませんが、インフラ整備とはそうゆうもの。
今後、スタジアムで開催されるコンサートやスポーツイベントで恩恵が得られる。
道路とかも同じ。
建設費用からは儲けが出なくても流通コスト削減とかで、忘れた頃にメリットを享受出来る。


誰かの支出は誰かの収入になっているのだから、4兆円の支出は言い換えれば4兆円も経済が動いたってこと。
観光客が来なかった事でホテルや飲食店での経済効果は期待以下だった。
でもそれ自体はマイナスでは無い。
観光客が来ると思って食材を仕入れてしまって無駄になりました!!という経営者が居たら別ですけど。
ホテル改築とかは?
無駄な工事になったんじゃないの?と思うかもしれませんが、それを再度ぶち壊す訳ではなく継続して使って行くのだから問題ないでしょう。
ホテル側は短期的に投資に見合った効果は得られなかったかもしれないが、改装業者にはお金が流れた訳で、たまたま自分たちの思惑とは合致しなかったというだけの話。
キレイになった設備は、新たに客を呼び込む手段になるでしょ。
メニューに英語表記を導入するのにコストが掛かっているという飲食店オーナーが取材されてましたが、それも同じ。
それこそがレガシー効果で、今後は海外からのお客さんをターゲットにできるようになった。
そしてメニュー改定費用は印刷会社の収益になっている。
個々の業種や店舗でのマイナス(短期的なコスト回収の遅れ)はあっても、オリンピックで日本の経済に打撃があったと言うのは間違っている。
そこは切り口の問題であって、実際には観光客のインバウンド効果が望んでいた水準には到達しなかったというだけの話であって、円が海外に出てしまい国際収支が赤字ですって話では無い。
これが、スタジアム建設もインフラ整備も海外の会社に発注しましたってなると話は違ってきますけどね。


開催費用が4兆円も!!と文句を言うのはおかしな話です。
4兆円も使ってくれた!!と感謝するべき。


単に政府や役人を批判したい人。
経済的メリットがまだ得られていない、もしくは得ている事に気づけない人。
家計のようなミクロ経済と政府支出のようなマクロ経済をごっちゃにしてる人。
経費削減を絶対的正義だと思っている人。
↑これもミクロとマクロをごっちゃにしてるからですね。
個人支出を削減するのは自由にすれば良いと思うけど、経費削減=消費抑制で、=景気抑制なのは疑うことのできない事実です。
まぁ、こう言った人達がオリンピック支出に関して批判している層だという認識は必要ですね。