猶予期間

スリランカのバスは主に2種類。
国営と民間がある。


どちらも同じ路線を走っているし値段も同じ。
違いは、国営でしか定期が使えないって事でしょうか。


このコロナ禍で、国営のバスドライバーや乗務員にはロックダウン中でも給与が出ている。
民間の場合は、そうはいかない。
オーナー次第ではあるけど、通常はオーナー所有のバスをドライバーと乗務員が使用しているだけなので、売上が無ければ給与を支払うオーナーは居ないでしょう。
オーナーはオーナーで、ローンを組んでバスを購入している人がほとんどですし、そちらの返済に苦慮している。
そこでファイナンス会社や銀行などに対して返済猶予を求める声明を出したのが、かなり前にニュースになっていた。
バスを取り上げられてしまえば、ロックダウン解除後に困るのは一般市民も同様なので、一概にお金持ち優遇(バスオーナー)とも言えない。


これと同じ問題がツーリストドライバーでも起きた。


ただ、こちらは公共性が低い。
お金を稼げると踏んで身の丈に合わない車を購入し、毎月の収入の殆どをローン返済に充てる。
収入が少しでも減れば滞納になる返済額を設定しているのです。
去年の3月に初めてのロックダウンが発布されて、3ヶ月後にはそういった無計画な個人事業主の多くが車を手放した。
車両を複数所有し、返済の終わった車両で稼いで新しい車両のローン返済をしていたような人は、まだ生き残っている。
実際、テロもあったし続いてのコロナなので、時期が悪いし気の毒ではあるけれど、仕方ない。
例えば、前にプロジェクトで働いていたワーカーさん。
彼の兄弟がツーリストドライバーをやっていた。
個人で新しく車を購入し、主に旅行会社からの依頼で事業を回していた。
去年の5月。
「私の兄弟が車のローン返済に困っているので個人的に彼を雇ってあげてくれないか?」と連絡が来た。
まず、仕事で車を出してくれるのに個人的に雇う理由が無い。
固定収入の無い仕事でローン返済をしていたとすれば、それなりに仕事は回って来てたのでしょうが、たった2ヶ月仕事が無くなっただけでローン返済に苦しむって事は殆ど貯蓄が無いか、無理な返済金額に設定していたのでしょう。
そして、電話してきた本人が信用できる人では無かったこともあるし、当たり前ですがお断りした。
こうゆう輩が
あの当時はかなり居ました。


この時期を過ぎ、今はホテルオーナーが同じ状態に陥っている。
売りに出されるホテルも増え、ローン返済の猶予を求める声も聞こえてくる。
これに公共性は有るのでしょうか?
今の段階まで一人の従業員も解雇せず、給与を支払い続けて居るのなら理解も出来ますが、中小ホテルが消えて無くなったところで、旅客は急に増えないでしょうからホテル不足になることも無い。
残念ですが、見通しが甘かったと言わざるを得ない。


スリランカ政府はIMFからのSDRを受け取らないと決めたらしい。
中国からの資金援助はシステム障害で遅延していると報告され、外貨は底をつく勢い。
ロシアとウクライナからトラベルバブル方式で旅行者を受け入れるとのニュースが報じられました。
現状で複数国から入国禁止措置を受けているスリランカに、この時期にどれだけの旅行者が来てくれるのでしょうか?