大学入試パス

2009年に初めてスリランカに来た当時からの知り合いの家族。

当時のワタシの職場の目の前で小さな商店を営んでいた。

毎日のようにお茶を飲んだりお昼を食べたりしていて、毎回の支払いが面倒なので先にデポジットしてそこから使った分だけ引いてもらって無くなったらまたデポジットしていた。

そこには5歳ぐらいの娘がいて、いつもワタシと遊んでた。

時が過ぎ、その娘が小学5年時のスカラーシップ試験に合格したと聞いたのは、協力隊を終えて妻と結婚して数年経った頃。

聞いてすぐにシンハラ語と英語の双方向で調べることの出来る辞書を買ってプレゼントした。

当時としてはそれなりに使い出のあった5000ルピーも添えて。(これはOレベルにパスした時かも?)

その娘が大学入試試験にパスしたと連絡があった。

いや、嬉しいね。

我が家の義母が出掛けた先で、あちらのお母さんと偶然会ったらしく、結果その知らせが入ったのですが、ワタシが辞書を送ったり少ないながらも資金援助したことをずっと覚えていてくれた。

お父さんは、娘がちょっと勉強をサボる日が続くとワタシがサポートしたことを理由に「あの日本のお兄さんに怒られるよ」と注意してたらしい。

いや、怒んないけどね。

それでもこうして頑張って大学入試をパスした事は、もの凄く嬉しいね。

 

妻には「この経済危機で大学に通うこと自体が負担になるだろうから向こうが心理的に負担に思わない程度には金銭的なサポートはしてあげて」とお願いした。

大学が無料でも教科書や通学のバス代なんかは必要ですからね。

ちょっと前に書いた生理用品の入手が困難で月経時に学校を休んだりとか、そんなの不憫だし。

ワタシの妻もお金がなくて休学を経験した人間です。

それをサポートしたのは結婚したワタシ。

結婚前からワタシのカメラを妻に貸してカメラマンとしての収入の助けにしてもらったり、結婚後は直接的な学費サポートをした。

その妻なら判るはず。

お金がなくて休学しなければならない辛さを。

ま、その知り合いがどれだけ厳しい生活かは知らない。

そもそも休学するような収入状況かも知らない。

大学がどこになるかも決まってないしね。

通学かホステルに入るのかも大学によって変わる。

でも、一時期よりは圧倒的に苦しいであろう事は想像できるし、我々夫婦からすれば大学生一人の生活費や通学代なんかのサポートなんて正直言って高が知れてる。

一ヶ月に一万円も出せばカバーして余りが出るけれど、実際には困ったときにサポートしてあげれば充分だからと頼んだ。

 

妻は当然のように快諾してくれたし、なんなら今月末に迎えるワタシの誕生日の徳行としてやってくれると。

ホントに良い妻ですわ。

人によっては「なんで私達のお金を他人のサポートに使わなければならないの?」と考える場合だってあるでしょう。

それを妻は「自分が受けられた幸運を、あの娘にも分けないとね」と言ってくれる。

ワタシだって誰にでも際限なく援助できる訳ではない。

それでも自分の生活に無理が来ない範囲で知り合いを助けられるなら、そうしたい。

自分自身も色んな人に助けられてここまで生きてきた訳ですから。

大学のときだってそう。

先輩からはいつもご馳走になって、それを返すのは先輩にではなく後輩。

そうやって次の世代へのサポートを当たり前の行為として身に付けられた。

ノブレス・オブリージュと言うほど大層な事では無いし、そんな身分でも無いけれど、スリランカの次の世代に対する一助になればと思うので、こういった小さなサポートは継続できれば良いな。