スリランカ人の不幸

大統領選挙が在るのかな今年は。

 

今の大統領はラニル・ウィクラマシンハ。

先代のゴタバヤ・ラージャパクサの辞任逃亡を受けて引き継がれた。

マヒンダ・ラージャパクサはマイトリパーラを挟んだとは言え権力の移譲を上手くやり通したと思えたけれど、ゴータの逃亡によってラージャパクサ一族から権力が外に移ってしまったことで、マヒンダの息子に移行できるまでは政治家を続けるつもりなのでしょう。

 

では、野党第一党の党首であるサジット・プレマダーサに期待が出来るかと言うと、そうでも無い。

マヒンダの前はチャンドリカ・クマーラトゥンガ。

その前はプレマダーサ暗殺による暫定大統領。

その暗殺されたプレマダーサの息子がサジットですね。

 

内戦の厳しい時期に大統領を勤めたというよりは、舵取りが上手くできずに内戦が激化したという方が正しいと思われている。

彼は非常に厳しい取り締まりを敢行した事で知られ、この時期にLTTEの内通者と疑われて警察に連行されそのまま帰って来なかった人は多く存在する。

これはタミル人とかシンハラ人とか関係ない。

我が家(スリランカのキャンディ市)の隣人も。

ワタシの妻の父親と同世代の兄弟が居たけれど、その弟が警察に連行されそのまま。

10年ぐらいしてから、行方不明のあと死亡相当と言う通知が来ただけ。

 

このような事件が各地で起きたのです。

警察に不用意に連れ去られないように、夜は電灯を消して真っ暗にして過ごしていたと妻も言っていた。

密告や虚偽の通報を恐れて人との付き合いが希薄になり、コミュニティは破壊された。

そんなプレマダーサの息子がサジット。

父親とは別と言っても、中には同じイメージを持つ人も多く、それが野党第一党の党首なのですから、与党になるだけの支持を得られない理由がなんとなく解る。

サジットだけには絶対に投票しないという人が一定数居るのは、なんとも厳しい。

 

スリランカ人の不幸がここにある。

 

現与党が信用できないのは明らか。

なのに野党がこれ。

どこに投票すれば良いのか。

自分の国、子供たちの将来を託せるだけの候補者不在。

そうなると、今だけ金だけ自分だけと成りがち。

 

大統領の権限縮小と三権分立の堅守、そして汚職撤廃。

まずはこれを公約にする候補者が出てきてくれれば、それだけでも投票する価値があると思うのだけれど、これを争点にする人が居ないのよね。