無意味な非常事態宣言

4/1に出された非常事態宣言では、外出禁止も言い渡されていたと思いますが、デモに参加する人たちも多く、警察もそれを止める事は出来なかった。


昨日、再度の非常事態宣言が発布されたが、外出禁止は伴わず。
結果として、今日は何もない普通の土曜日。


国民に支持されていない政府が出す非常事態宣言を、誰も尊重しないというのは良いことなのか、悪いことなのか。


公権力が個別もしくは個人の判断で動き出すことは、ある意味で非常に危険。
独裁者の命令を闇雲に聞くのも、そりゃもちろん危険な状態ですけど。


公権力を違法な状態で行使された場合、または差別的だったり虐待を含んでいたりしたら、国家賠償の対象になるのだと思う。
つい先日、ランブッカナで起きた警察官による発砲・死亡事件もそう。
こういった分かり易い事例は議論されて日の目を見る一方で、大統領に権限が在るとはいえ、発布の根拠が示されない非常事態宣言や外出禁止令で売上げの減った商店なんかは補償されない訳です。


昨今のスリランカが上手く機能していない理由は、スリランカがちょっと大きな「村社会」だからだと思う。


以前は、それでも良かったのかも知れない。
政治家や富裕層を頂点とした序列構造で、自分たちのコミュニティで利益を分配していく。
地方議会の議員に一定の就職斡旋枠が割り当てられている(違法ですが黙認されている)ことや、公務員ですら採用時に推薦状が有利に働く事への、問題意識の欠如。
外から見れば無駄とも思える書類やサインも、序列を認識させて、それぞれの階層で搾取をするには有効なシステムだ。
国家公務員の不正を防止する手立ての一つである転勤もスリランカは非常に少なくて、不正な取り引きの土壌となる利益集団を産み出し易くなりがち。
2000万人ほどの小さな国ですので、知り合いを数人たどれば、誰だって権力者に繋がる。
そんな国で、行政手続きを杓子定規にやれって言うのは酷な面もある。
逆恨みされるしね。


公務員は転勤させる。
その代わり充分な給料を払う。
不正には厳罰を与える。


まずは、この辺りから始めないと無理。
充分な給料を払うには人数を減らす必要がある。
これは地元に居付く公務員を排除できるメリットもある。
住民票のようなシステムも必要になるでしょう。
今のような選挙は生まれ故郷で、、、みたいな感じでは縁故主義も解消出来ない。
IMFが提言するであろう公務員の削減は、縁故採用された公務員を一掃するチャンスだし、もう少し近代的で公平な社会システムを模索しなければ、本当にスリランカは終わる