2019年の家計調査結果が出ていた。
http://www.statistics.gov.lk/IncomeAndExpenditure/StaticalInformation
以下、平均3.7人の家庭における世帯収入(Rs.)です。
比較として出しているのはワタシがスリランカにやって来た2009年。
調査年 | 2009 | 2019 |
平均値 | 36,451 | 76,414 |
中央値 | 23,746 | 53,333 |
上位20% | 54.1% | 51.3% |
下位20% | 4.5% | 4.6% |
上位と下位とで収入が大きく異なっているのは相変わらずですね。
2009年〜2019年の間の物価上昇は165%ほど。
つまり、実質的には2019年の可処分所得は2009年の基準で
2009 | 2019(物価調整後) | |
平均値 | 36,451 | 76,414(46,312) |
中央値 | 23,746 | 53,333(32,323) |
倍ほどに思えた収入の増加も、実質的には1.3倍にも満たない。
しかも165%という指標はCPI(Consumer Price Index=消費者物価指数)ですので、気候変動などでの物価変動の大きい生鮮食品は抜いてある。
スリランカでは生鮮食品の上昇幅が大きいし、家計支出に占める生鮮食品の割合も高い。
なので、実際のところ給与の増加は可処分所得の増加には全くと言って良いほど寄与していない。
つまり、生活のレベルは2009年から変わっていないってことです。
そこから今(2022年)までに、さらに少なくとも150%は上昇しているでしょうから(CPI)、
2009 | 2019(物価調整後) | 2022 | |
平均値 | 36,451 | 76,414(46,312) | 30,565 |
中央値 | 23,746 | 53,333(32,323) | 21,333 |
しかも、飲食店はガスの不足から閉鎖を余儀なくされ、ドライバー職はガソリン不足で開店休業。
その他諸々、多くの市民は収入減に直面している。
あるニュースでは、平均収入のおおよそ40%が吹っ飛んだとか。
そりゃそうだ。
公務員でも無ければ収入減は避けられない。
となると実際には、
2009 | 2019(物価調整後) | 2022(40%減額後) | |
平均値 | 36,451 | 76,414(46,312) | 30,565(12,226) |
中央値 | 23,746 | 53,333(32,323) | 21,333(8,533) |
恐ろしい計算結果ですね。
2009年と比べても三分の一です。
しかもCPIで見てますからね。
生鮮食品の値上げ幅はもっとキツイですから。
国家転覆してもおかしくないレベルですよ。
ルピー安でルピーの価値も三分のニになってますし、ドルベースで考えたら、、、。
53,333ルピーを基準にしても一人一日1.3ドルほど(53,333÷360(1ドル360ルピー)÷30日÷3.7人)。
見事に国際貧困ライン以下。
40%減った給与額での計算結果は、恐ろしくて考えたくもない。
今回の資料は2019年のものをベースにした分析。
2019年というのは、スリランカが中位所得国に分類された年だったと思う。
もう少し前だったか?
いずれにしろ、国際的援助機関からは緊急支援や保健、道徳的支援、人権なんかの関係でしか無償資金協力は不可能になる。
通常はローン案件のみ。
収入が増えたんだから援助に頼らないでねってこと。
こんだけ国情が悪くなれば中位所得国からは下げられるだろうし、政治的にも経済的にも開発途上国として分類されるのは明白。
そうなると無償資金協力が復活する訳ですな。
メデタイ。
今後数年でインフラ投資や技術支援などのプロジェクトが増えることが期待できます。
いや、楽しみ。