スリランカのファイナンス会社に預けると、現状では年利21%というとてつもない金利を享受できる。
四年で資金が二倍になる計算です。
と聞くと「なんとも素晴らしい」と感じますが、2022年の12月末までの三年間で累積インフレ率が100%を超えているのがスリランカ。
つまり、2020年1月1日から2022年12月31日の三年間で物価が二倍になったということ。
金利が年利21%になったのは2022年の中頃の話ですから、インフレが加速してその後に金利が上がった。
まぁ当たり前の話ですが。
この当たり前の話が何を意味するかというと、資産があればスリランカでの生活は余裕ということでは無いってこと。
2019年のテロ以降、対米ドルでは最大で資産価値が半減し(今は三分の2まで持ち直している)、三年で物価は二倍。
食料の多くを輸入に頼っているから、ドル換算でルピーが半減したことで100ルピーで輸入できていたものが200ルピー出さねばならなくなり、それが売価に反映されて物価が二倍になったってことでしょう。
今は多少落ち着きを取り戻しているようですが、物価が二倍になると消費動向は鈍化しますので、生産量は釣られて減少。
国内の生産者は廃業し、その分を輸入に頼ろることになり、輸入量増加。
外貨のさらなる流出につながる。
そしてルピーが安値安定。
国民の生活も同じく低いところで安定する。
それでも資産があれば高値でも買えただけまし。
今は高級食材は輸入しても売れないので、そもそも輸入しない。
レストランやホテル向けのみ。
レストランの価格も高騰しているので、いままで頑張ってご褒美に行っていた層は行かなくなり、レストランの利益も圧迫。
まったくもって見事な負のスパイラル。
四年で倍になるルピー資産ですが、三年で物価は倍になっているので、時期は少しずれているけれど実質的には資産が目減りしたのと同じ。
毎年26%ずつ物価が上昇しているのに、資産は21%で増える。
100ルピーだったものが四年で250ルピー。
100ルピーの資産が四年で214ルピー。
四年前には買えたものが、四年後には資産が倍になったのに資金不足で買えないという事態。
資金に余裕のない人ほど現物資産にお金を使うという意味がここにある。
田舎の小金持ちが家を建てたり車を買ったりするのは、今買わないと買えなくなるから。
そして家は売却が難しいけれど、家族の住む場所にはなり得るし、車は中古でも売ることが可能。
そうして、こぞってローンを組む。
これが罠。
現金で買わなければ、意味がない。
変動金利でローンを組んでしまった多くの人が返済できなくなって車を回収されている。
妻の友人は夫婦共働きで旦那の収入の全てをローン返済に充てていた。
テロの発生するまえのことです。
奥さんの収入で生活できていたので、その頃は良かったのですがね。
今となっては奥さんの収入では生活を維持できないどころか、変動金利で旦那さんの収入では返済には足りない状況。
会社を休んでは銀行にお願いに行く日々だとか。
変動金利で返済額上昇。
経済危機で給与減少。
物価高で生活費上昇。
税金アップで手取り減少。
ヘレン・ケラーも真っ青の4重苦です。
まとまった資金が手に入ったら、それを現物資産に変えるというのは良い方法だとスリランカを見てると思いますが、ローンを組むのは、しかも変動金利で組むのは地獄の一丁目。
じゃぁ出稼ぎに行こう!!ってなっても、行ける人は限られるし、ローンが残ってたりすると許可されないケースも在ったり。
最近になって不動産価格も上昇から下降に転ずる気配。
上手いこと出稼ぎに行けた人が家族ぐるみでスリランカを脱出したりするので、その不動産が売りに出されるケースも増えたし、ローン返済が滞って不動産を手放す人も増えてきているってことでしょうね。
結婚当初、妻には「お金持ちになるとは言わないけれど、スリランカで生活に困るようなことには絶対させない」と話した。
今のところ、その誓いは守れていると思っているが、未だスリランカ経済が不透明なのは不安材料ですね。