9月21日に実施された大統領選挙2024。
過半数をどの候補者も達成できなかったことで第二回投票に史上始めてもつれ込んだ。
今日(23日)の未明に判明した結果は、アヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ候補が過半数を獲得し、次期大統領に決定したという結末。
まず、選挙制度についての解説をします。
その後で、ディサーナーヤカ次期大統領について書きたいと思う。
スリランカの大統領選挙は39人出馬したと以前書いた。
供託金は5万ルピーね。
で、基本的には投票数に対して過半数を獲得した者が当選という流れ。
1700万人ほどの有権者(海外に住む人も含む)のうち、79%が投票したということでした。
今までの大統領選ではそのまま過半数を獲得して当選という状況だったので、第二回投票に発展したのは初。
投票は立候補者を三人まで選ぶことが可能。
どれだけ支持するかは重要ではなく、順番のみ。
これの意味するところは、支持の重みは考慮されないということ。
「AとBは五分五分でどちらを支持しても良いけど、Cはまったく支持出来ない」
立候補者三人だった場合でも、
1 A
2 B
3 C
と記入するのみ。
もしくは
1 B
2 A
3 C
ですね。
大切なのは順番のみ。
仮にAを一位にする人が51%、Aを三位(もっとも支持しない)が49%でもAが当選する。
どんだけ反対する人が多くても、支持する人間の多さしか見ない選挙方式です。
これが、支持の重みは考慮しないという意味。
今回の場合、第一回投票で過半数を獲得する候補者は出なかった。
アヌラ候補42%
サジット候補33%
ラニル候補17%
これは、一位から三位まで記入させているけれど単記投票方式を採用していて、単純に一位に指名されている数を集計した結果。
つまり、この第一回投票は二位と三位の記名は無意味。
ついでに書くと、今までは三人まで記入できるのに一人しか書かないことが殆どで、この選挙方式は機能してませんでした。
今回は事前にしっかりと啓蒙活動をしたそうですが、どれぐらいの割合で三人の候補者を記入したかは不明です。
で、先の三者で全体の92%の得票数。
第一回投票で過半数を採った候補者が居ない場合は、上位二者のみを残して三位以下のすべての候補者は脱落となる。
次は、ラニル候補(三位)以下の候補者の投票用紙を見ていく。
手順としては次に見るのはラニル候補を支持していた有権者の投票用紙。
そこに
1 ラニル
2 サジット
3 アヌラ
と記入されていれば、この有権者の票はサジットに移行する。
例えば、アヌラ候補が42%、ラニル候補17%だったことから、9%がアヌラ候補に移行すれば終わり。
9/17*100=53%
つまりラニル候補の支持者の内、53%が二番目の支持者としてアヌラ候補を記入していたら、ここで終了。
まぁ実際にはそんなことは無いでしょうから、四番目五番目の獲得上位者の投票用紙を見ていくわけです。
三位まで各理由としては、二位まで見ても決まらなかったときの保険ですね。
これ、可能性としては三位まで見ても決まらないことも有り得ると思うんですけど、その場合の選定方法は分かりません。
選挙法に関するPDFはあるんですけど、ごめんなさい。
読む気しなくて。
まぁ、いいや。
第二回もしくは第三回を戦い、過半数を取った時点で当選です。
最終的には全ての投票用紙を確認して獲得票数を集計します。
そして結果は、
アヌラ候補が56%、サジット候補が44%で決着。
選挙管理委員会のデータを見ると、結局はほとんどの選挙区でアヌラ候補が獲得数一位。
で、サジット候補が一位の七地区(トリンコ、アンパーラ、バウニヤ、バティカロア、ヌワラエリヤ、バドゥッラ、ジャフナ)では三地区(トリンコ、アンパーラ、バドゥッラ)以外で、アヌラ候補が三位になっている。
逆に言うと、七地区の内の四地区でサジット候補とラニル候補が票の食い合いになってしまったということ。
あと、大票田で弱かったね。
22の地区のうちサジット候補が優勢だったバドゥッラでさえ、人口で言えば9番目ですから。
そして、その有権者数は上位三地区それぞれの半分ほど。
ガンパハ、コロンボ、クルネーガラ、四番目でキャンディ。
このあたりで勝てないと無理だよね。
なかなか見ごたえのある選挙でした。
実は新しい法律が施工されて、そのお陰で真偽の程はともかく、選挙前に候補者の収入と負債に関するレポートが提出されており、公式なデータとして今後は利用できるのも面白い。
例えば、ナーマル・ラージャパクサの収入は、455,000ルピー。
負債は8000万ルピー。
日本円で言えば、月収20万で4000万の借金。
事実だとしても日本ではあり得ない数字なんですけど、スリランカでは、こうゆうこともあるか。
まぁ、100%虚偽申告と思いますけど。
そして45万ルピーしか収入がないのに、個人的に2億ルピーのローンを提供していて、毎年300万ルピーの収入があるとか。
これは月収45万ルピーに含まれてますよね?
ちょっと良く分からん。
45.5万ルピーの月収のうち、20.5万ルピーは国会議員としての収入。
残りの25万ルピーは、2億ルピーの個人ローンによる金利収入ってことですかね。
このローンというのは定期預金と考えても良いかもしれないね。
どちらにしろ、この2億ルピーの原資をどうやって確保したのかは、誰も知らない。
とにかく、汚職防止法が施行されて、国会議員(現時点では大統領候補)の財務状況が(一応)詳らかにされたというのは、素晴らしい。
もう一個史上始めてという事態が発生していて、それは、与党でもなく野党第一党でも無い候補者が当選したというのも初めてのことらしいです。
とにかく、大きな混乱もなく平和裏に選挙が終了したのは本当に良かった。
良いか悪いかは置いておいて、今回の選挙は、今後のスリランカに大きな影響を及ぼす気がしますね。
ちょっと長くなったのでディサーナーヤカ次期大統領については別で書きます。