やっとエアコンの必要ない季節になって来ましたね。
さて、昨日の続きです。
ワタシも、今回の大統領選挙に出馬するまでは新大統領のことはあまり知りませんでした。
農業や灌漑の大臣をしていたことが有るというのは、なんとなく知ってたぐらい。
所属政党はJVP。
Janatha Vimukthi Peramuna=People's Liberation Frontです。
スリランカの政党は、シンハラ語と英語とで略称が異なるので混乱します。
日本語に直すとしたら「人民解放戦線」ですかね。
「なんちゃら解放戦線」ですと、ワタシは「サンディニスタ民族解放戦線」を思い浮かべます。
ニカラグアの極左政治組織ですが、独裁政権を打倒する目的の軍事部門が存在していて、なんやかんやゲリラ活動やクーデターを決行して革命に成功した。
そうして政権奪取となったけれど、独裁政権の生き残りとキューバ化を恐れたアメリカが共闘し「コントラ」という右派ゲリラが発足。
内戦の結果、国は疲弊。
国民の協力が得られなくなったサンディニスタは停戦、選挙の実施、敗北して野党に。
その後も、野党の第一党で有り続けたり、たまには政権を奪取したりして政治活動は継続しています。
軍事部門はコントラの解散に合わせて、こちらも解散。
スリランカと関係ない話でしたが、「なんちゃら解放戦線」のイメージは大体こんな感じです。
左派、共産主義、マルクス・レーニン主義、反帝国主義、、、、。
時には右派的な民族主義とも結びつくけれど、基本は左派。
そして共産主義なので、闘争は辞さない。
実際に何度か武装蜂起を実施していて、合計で数年にも及ぶ戦闘で7万人ほどの死者、行方不明者も数万人規模となっている。
反政府活動から数千人が死亡、その後に政府転覆を企んでいるとして活動の禁止が言い渡されて地下に潜った。
活動資金を得る目的で銀行を襲撃し、その資金で軍備を整え、警察、政治家、軍、俳優や著名人、神父、学者などなど。
やってることは、ほぼポルポトと同じですね。
チャンドリカ・クマラトゥンガの夫も殺害されまして、コレを契機にチャンドリカは大統領になった。
チャンドリカ、父親であるバンダラナイケも仏教僧に暗殺されてるし、夫もJVPにやられてるし、悲惨ですね。
とまぁ、テロ組織だったJVP。
人的被害だけではなく、国家経済に深刻なダメージを与えました。
国営バスだけで500台以上も燃やされて、変電所、政治家の自宅、列車、駅舎などなども被害に。
この時期、タミルイーラム解放の虎LTTEとは停戦がなされており(その後、停戦は破棄されますが)、国内に残された最も大きな問題となっていた。
それぞれの襲撃は規模としては小さい。
しかし、その都度多くの人命が失われていたのも確か。
銃弾や手りゅう弾の確保は警察や軍の倉庫を襲撃して得ていたそうですが、そんなに簡単な訳が無い。
ようは、警察や軍という治安維持組織にもJVPの支持者が居たということです。
軍がJVPの掃討に対して機能しないとなり、準軍事組織が立ち上がる。
法的根拠の無い、言うなれば政府側のテロ組織です。
JVPが起こした軍人への殺害行為に反応し、準軍事組織はJVP支持者の民間人を大量に殺害した。
これは国内から多くの批判を集めることになったが、JVPはここでミスをする。
JVPは、この準軍事組織を警察や軍の一翼だと考えていたため、闘争の参加者に対して「治安維持組織への対抗措置を行え」と激を飛ばした。
警察とか軍にも徹底抗戦しろってことです。
ここに至って、警察や軍に居た協力者も脱落。
逆に徹底抗戦となって、JVPの協力者も治安維持の名目で殺害、連れ去り、拷問、時には強姦なども起きた。
この時期に首相や大統領を歴任していたのは、今回の選挙に出ていたサジット・プレマダーサの父親であるラナシンハ・プレマダーサ。
サジットが一部地域でまったく支持されていない理由がコレ。
チャンドリカの夫をJVPが暗殺した件にも関与していたとされていて、ようはプレマダーサは政敵の排除にJVPを利用し、そのJVPも治安維持の名の下に掃討したのです。
主要メンバーが殺害された後、組織は崩壊。
戦闘組織としては機能しなくなりました。
しかし、政党としての活動は続く。
前回の国政選挙では225議席の内、3席を保持していました。
今回の党首による大統領選挙勝利をもって、議会は解散されますし、今後どれほどの議席を獲得できるかが勝負ですね。
という感じで簡単にすりラン科のダメダメな政治闘争をご紹介しました。
いや、本当は新大統領のことをもっと詳しく書きたいんですけど、情報があまり無いのです。
なのでスリランカ現代史を掻い摘んで書いた訳です。
ここまで新大統領の所属政党について書いといてあれですけど、今回の大統領選挙の得票数上位三名について書きたいので、あしたも続きます。