今回の選挙。
得票数でいうとアヌラ、サジット、ラニルの順番。
昨日、アヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ新大統領の所属政党についてざっくり書いた。
今回はサジットとラニルについても軽く触れる。
サジットについて書くには、父親のラナシンハ・プレマダーサについて書かないとならない。
ラナシンハ・プレマダーサは第三代スリランカ大統領。
就任当初、大きな2つの問題を抱えていた。
ジャフナなどの北部ではLTTEが分離独立を求めてテロ活動をしており、コロンボを中心とした南西部ではJVPがシンハラナショナリズムとも絡み合った反政府運動(テロ活動・共産主義革命闘争)をしていた。
北部はインドの平和維持軍がメインで対処していた時期。
しかしインド平和維持軍は、言っちゃ悪いけどあまり成果が挙げられず、正直邪魔になっていた。
「出ていって欲しいなぁ」と思っていたプレマダーサは、なんとLTTEに武器を横流し。
最低な行為です。
後に600人以上の警察官が犠牲になったLTTEによる襲撃事件に使われた武器は、この時のモノだという事も判明している。
こんな感じでLTTEの問題は全く解決できず。
翻ってJVPには熾烈な殲滅作戦を決行。
実際には政敵であるチャンドリカの夫を殺害するためにJVPを利用する強かさもあります。
こんな中、LTTEとも対立の溝は深くなっていき、最終的にはLTTEの自爆テロでこの世を去る。
人を呪わば穴二つとは、この事かも知れませんね。
中央州より北に位置する都市や農村では、「LTTEの構成員」「JVPの協力者」といった言いがかりで警察に連行されて帰ってこなかった人が多くいた。
前にも書いたけれど、キャンディの家のお隣さん。
今はその家には住んでおらず、別の場所に居を構えていますけど、その家の次男が警察に連れて行かれて帰ってきていません。
10年後ぐらいに「死亡相当」という一枚の紙が送られて来たとか。
それだけ。
事実、その隣人がJVPもしくはLTTEの支持者だったとは誰も考えていなくて、密告が原因だと思っている。
この一連の出来事にラニルは関わっていないかと言うと、そんな事はなくて、このプレマダーサの苛烈な殲滅作戦で捕らえられた人たちの収容キャンプの責任者だった。
つまり、妻の隣人はアヌラ(新大統領)の所属するJVPが過去の時点で先導していたテロ組織の支持者だとして、サジット(得票数2位)の父親ラナシンハ・プレマダーサ大統領(当時)が最高責任者だった警察組織に連行され、ラニル(得票数3位)の管理する収容キャンプに収容後、そのまま帰ってこなかったという事。
こうゆう流れは、詳しくでは無くても田舎の人はなんとなく聞いて育っている。
なので、この三人に投票するぐらいなら、、、となってナーマル・ラージャパクサに投票したりする。
キャンディの義母も、そう。
妻にも聞きました。
今名前を上げた四人なら誰に投票する?って。
「無記名で出す」と言ってました。
以前にも何度かこの手の話を書いたことがありますけど、これがワタシがいつも口にする「スリランカ国民の不幸」というものです。
国を変えたいと思って選挙権を行使しようにも、投票したいと思える候補者が居ない。
スリランカに限ったことでは無いですけどね。