日常の非日常

ちょいと用事があってキャンディの街に出た。


THE PUBという、そこそこまともなゴハンを食べさせてくれる店で昼めし。
テラス席で注文の品を待っていると、旅行者らしき男性が寄ってきた。
「ちょっと良い?旅行者?」


どうもペラデニヤ植物園に行きたいらしい。
椅子を差し出して、とりあえず座ってもらう。
パキスタン出身のイケメンだった。
一週間の予定でスリランカに来て、今朝早くに
コロンボからキャンディに来たらしい。
で、仏歯寺に行き、これからペラデニヤ植物園に。
でも三時の汽車でコロンボに帰らねばならないとの事。
その時すでに一時半。


「先週行ったけど、ひと通り見るのに三時間ぐらいはかかるよ」


彼の意欲は完全にそがれ、俺のすすめたトーストを食べ始めた。
そこで気付く。
「あ、ごめん。今ラマザンだよね?」
「あ〜良いんだよ。旅行者とか病人とか妊婦はOKなんだよ」


へぇ、知らなかった。
ま、当然といえば当然だけど。
合理的な理由があればOKなんだね。


そんなこんなでゴハンを食べていると、カップル登場。
旅行者同士(俺はちがうけどw)の気楽さで会話が弾み、
なんだか楽しい昼御飯だった。
そのカップルはスペイン男性とフランス女性の美男美女カップル。
パキスタンのイケメンは母親がフランス人らしく、
フランス語ペラペラ。
俺も一応スペイン語が話せるので、
自然とスペイン男の担当は俺になってしまった。
悔しい。


英語、フランス語、スペイン語の混じり合う昼下がり。
いつも通りの日常から、急に現実感が消えた。