賢い人とは

スリランカでも納豆を気楽に食したいと常々思っていた。 コロンボに行けば買えるし、お金さえ払えばどうにでもなるのでしょうけれど、好きなだけ好きなときにって訳には行かない。 なので自作へと向かうのは自然の成り行き。 実際、海外で同じような悩みを抱えて納豆を自作している人は多い。 その場合は純粋培養された納豆菌を購入してヨーグルトメーカーなんかで作るのがポピュラー。

スリランカは稲作文化圏なので稲ワラは比較的簡単に手に入る。 であれば藁苞で納豆を作ることには思考が向かうのですが、農薬の問題がある。 藁苞で作る場合は熱湯浴をさせて滅菌と納豆菌の活性化をする必要がある。 納豆菌は熱に強く100℃でも死なないので、選択的に納豆菌を残すことが可能なのです。 なので熱湯浴で農薬もキレイに洗い流せるのは理解できるのですが、やっぱり気が乗らない。 それが理由でスリランカでの藁苞納豆は未挑戦だったわけです。

で、ココ最近はスリランカは農薬が手に入らない。 つまりオーガニックな稲ワラが入手可能なのです。 商業利用されてる納豆菌とは違うものになるとは思いますが、同じ枯草菌の別株は確保できる。 良いなぁ。 そんなことを考えていたら「ハーブで納豆が作れる」という記事を見つけた。 え? 庭のミントやローズマリー、バジルで納豆が作れる、、、?

目からウロコとはこのこと。

なまじ稲作文化圏のスリランカに住んでいるから「稲ワラを使えば納豆が作れるかも」という段階で思考が停止していた。 稲作文化圏ではない国に住む日本人は、もう一段踏み込んで「納豆菌は枯草菌の仲間なのだから稲ワラである必要はない」にたどり着いたのです。 そう。 枯草菌はどこにでも普遍的に存在する菌。 枯れ葉に多く存在するのは確かですけど、それは稲ワラに限ったものではない。 通常の緑色の葉っぱや土壌にも居る。 なので極端な話、土やそのへんの落ち葉で納豆が作れるのだ。 藁苞と同じように、熱湯殺菌したハーブを柔らかく茹でた大豆と合わせれば、生き残った枯草菌が大豆を発酵させる。 その間、ただの草では壊れた細胞壁から汁が出ますし、変な匂いや味が付く。 なのでハーブを使うという事のようだ。 麦ワラは麦角菌の危険があるので辞めたのでしょう。 納豆食べてバッドトリップとか嫌すぎますし。

面白いのが、色んなハーブで世界各国で納豆もどきを作っている日本人が居るのですが、国や地域によって上手く行くハーブが違うという事。 おそらくは付着している枯草菌の種類による差異なのでしょうけど、これは色々と試したくなる。

「必要は発明の母」ってことなのでしょうけど、ワタシはなまじ稲ワラが手に入る環境ということで本質の部分まで知識の因数分解が出来ていなかった。

早速チャレンジしてみよう。