移民の果てに

数日前に「国民の分断という罪」としてスリランカの出稼ぎに関する感想を書きましたが、それに関連して。


世界で唯一の大国アメリカの話です。
現在アメリカの人口は3億3000万を超えたぐらい。
人口全体の7~10%が外国人と言われている。
ざっくり2500万~3000万ぐらい。
ここに分類されるのは帰化していない人。
留学生とか短期の就労ビザ、もしくはアメリカ人の配偶者とかですかね。
ただし、ここには不法滞在している人は含まれていない。
それを含めると2019年の時点ですら5000万人を超えているというので、合法的に滞在している人と同じ規模で不法滞在している人が居るってことになる。
二人に一人はって感じ。


2018年にはSNSで呼びかけられた人たちがキャラバンを形成し、メキシコとアメリカの国境を目指して進んでいるというニュースが報じられた。
その時の規模は160人。
スタート地点であるホンジュラスのサン・ペドロ・スーラの時点です。
歩いて進むうちに合流する人で規模は拡大し、グァテマラとメキシコの国境時点では7000人に。
距離にして3500キロにも及ぶ道のりを進み、アメリカ国境までやってきた彼らを待ち受けていたのは国境警備隊
ここで普通であれば、
1.抜け道を見つけて不法入国する
2.強制的に入国を試み、逮捕された後き移民申請
3.帰国
4.メキシコに不法滞在
という選択肢があった。


結構な数の入国希望者が帰国の道を選んだ。
なぜなら当時のトランプ大統領が強硬な姿勢を崩さなかったから。
そして、責任の一部は入国を許可したメキシコにあるというトランプ大統領の指摘に屈し、メキシコ政府がメキシコ国内での就労を許可した。
合法的にメキシコに滞在できる、この方法を選択した人も多かった。
あとは入国を強行し、移民申請をした後に却下されて強制送還される人も。


2018年の出来事ですが、この後も同じような事は頻繁に起きてました。
毎月5万人から多いときで15万人という恐ろしい規模です。
バイデン大統領になるまでは。


2021年のバイデン大統領就任後はどう変わったのか。
就任二ヶ月後の2021年3月には過去最高の16万人を突破し、そこからは同じレベルをキープ。
2022年3月には20万人を超えました。
勿論4月も。
今年一年間では250万人になるという予想。


不法入国した移民希望者は身柄が拘束された時点で公衆衛生法のタイトル42という法律を適応させてすぐさま国外退去、つまり飛行機による強制送還です。
元々は伝染病の存在する国からの移民による国内での感染拡大を防止するための法律でしたが、コロナを口実に移民申請させる暇を与えずに送還します。
これでトランプ大統領は80%、バイデン政権では60%を帰国させてます。
しかしフライトが満席の場合は、一旦収容所に送り込むことになる。
こうなると次は移民に関する法典であるタイトル8というものの適用となる。
まぁ、杓子定規な事を言えば本来はコチラを使うべきなんですよね。
トランプ大統領移民問題を公衆衛生法にすり替えて無理やり使って解決させていたので。
ただ、このタイトル8には欠陥があるんです。
だからトランプ大統領は使いたく無かったし、バイデンは何故か使いたがる。


続けると、収容所に一旦収まった不法入国者はタイトル8が適用され、フライトに空きができるまで待つことになる。
で、ここでこのタイトル8の問題点。
収容期間中に「自分には帰国できない『Reasonable Fear(合理的な恐怖)』がある」と申請すると、強制送還の差し止めが可能になるのです。
そうなると裁判所への出頭通知書が発給され、ここで晴れて出所できる。
勿論、その後に裁判を経て本当の意味での自由獲得となるのですが、そのまま裁判に出ない。
裁判で帰国を言い渡される可能性は大きいですから。
まぁ、それでも裁判までは合法的に、裁判に出なくても不法ではあるけれど入国には成功すると。


恐ろしいですね。


でも、さらに問題を孕んでいるのです。
この『Reasonable Fear(合理的な恐怖)』の理由、例えば「帰国すると身の危険がある」っていうので良いんですけど、本国でギャングだったという人とかでも適用される。
更にはアメリカ政府による監視対象になっている人でも可能。
怖いです。
あと、ニュースにもなってましたが、不法入国した時点で親とはぐれたとか、最初から子供だけで来たという場合、この自由になった子供に対して里親を探す義務が政府にはある。
この里親申請にたいして人身売買を目当てとしたアメリカのマフィアが群がるのです。


インドでも最近ありました。
コロナで両親を亡くした子供を引き取った里親が、実は売春を強要していたってニュース。


長く書きましたが、問題はスリランカの状況なんです。
いま、SNSには外国に行くための美味しい話が雨後のタケノコ。
例えばFacebook、もしくは「知り合いの知り合い」、怪しいエージェント。
お金を騙された結果、渡航できませんでしたなら、まだ良い。
渡航先でパスポートを没収されて売春強要とか、タコ部屋での強制労働とか。
正直言って、893とかにツテがあれば今のスリランカからだったら幾らでも若い女性を送り込めると思う。
それこそ、吉野家の「生娘シャブ漬け戦略」は893が本家ですから、死ぬまで売春させられてオシマイ。


「出稼ぎだーーーー」と盛り上がる前に、もう少し政府は啓蒙活動に力を入れる必要があるし、マスコミも頑張って欲しい。
でないと、毎年200人ほどいる在外スリランカ人死亡数が爆増する未来が来ますよ。
もしくは行方不明とかね。