最終電車の一幕

昨日の帰り。

電車を乗り継ぎ、最寄り駅に向かう折り返し電車に乗り込んだ。

これが終電。

乗り込む時に、手前の窓側の席で眠りこけている乗客が目に止まった。

すぐに起きるだろうと放置していたのですが、ワタシが逆サイドの窓側に座って携帯をいじったりイヤホンの準備をし終わっても起きない。

終電の折り返しだし、そのまま発進してしまったら家に帰れなくなる。

そのうちに目を覚ましたとして、乗り換えがあるならそれを逃すことも考えられる。

 

単純に親切心。

声を掛けても起きない。

幸いにも男性だったので、肩を手で叩き起こした。

「終点に着いてますよ」と。

 

「ふぁ!?」と発声して飛び起きた男性。

そのまま電車を飛び出してあたりを見回し、やっと自分がどこに居るのか把握した模様。

そのまま改札に向かったので、ワタシも席に戻る。

すると視界の端で、こちらに向き直り自分の座っていた席のあたりに目をやる男性が見えた。

忘れ物でもあったかとワタシも視線を移す。

覚束ない足取りで数歩戻ってくる男性。

 

手を上げて頭を下げる姿が見えた。

窓越しに御礼をしてくれたようだ。

ワタシもそれに応える。

 

1日の終わりとしては上等な締め方だったのでは無いでしょうか。

 

しばらくして電車の扉が閉まり動き出したところで「あの人が女性だったら、どうやって起こせば良かったか」と考えてしまった。

一番無難なのは車掌さんが巡回に来た時に起こしてもらうように伝える、かな。

それだと仮に乗り換えがあったとしたら間に合わなくなっている可能性もあるでしょう。

しかし、痴漢冤罪とかも怖いですからねぇ。

 

たまに日本人は冷たいなんて言われますが、理由の半分はこういった心理が影響しているんだと思います。

 

勇気を出して席を譲ったら相手に固辞されて、結果誰も座らない席が生まれたとかで、その後数年間バスや電車で座ること自体がある種の恐怖症になってしまったのは幼い頃のワタシです。

この経験は親切心が実を結ばず恥ずかしい想いをしたってだけの話ですが、良かれと思ってやったことで後悔したり逆に迷惑を被ったという記憶もある。

 

人には親切にしなさい。

 

単純にそうやって言い聞かせる時代では無くなったのかも知れない。