貧乏揺すり

スリランカ人は、もの凄く貧乏ゆすりをする。


今日の通勤バス。
普段は一時間ちょっとで着くのに、今日は二時間近くかかった。
ワタクシは最後列6人がけの右から三番目に座っていた。


いつもより時間が掛かっているし、ノロノロと動くバスの中は
風が吹き込まないので非常に暑い。
イライラ成分が皆の心に蓄積していく。


進まない渋滞に飽きたのか、運転手がラジオのスイッチをオン。


軽快ではあるが、同時に軽薄で、センスの欠片も感じられないランカポップスが
車内に轟音で響き渡る。


すると右隣の男が左足でリズムを取りだす。
彼はコピーターゲットをバスドラムに決めたようだ。
ワタクシの右フトモモで、シャリシャリとスラックスが音を立てる。
スピーカーからの轟音を物ともせず、こちらもかなりの音圧。


続いて左隣のおっさんが右足でリズムを取りだす。
彼はハイテンポな曲に合わせて、小刻みに揺らしている。
ワタクシの左フトモモで、シャリシャリとスラックスが音を立てる。
小気味いい音だ。








バスは動かない。




ちょっとフトモモが温かくなってきた。
このままでは緊急事態でもないのに両フトモモから狼煙があがってしまう。


そこで、
「ちょっと痒いなぁ」という素振りで、
擦れあっているフトモモの間に手を滑り込ませ、
「あの〜気持ち悪いんですけど」アピール。


まずは右のフトモモ。
狼煙があがるのは食い止めることが出来たが、
このままでは右手の甲に生えている産毛が全て無くなってしまいそうだ。
そして左のフトモモ。
しっかりとくっついた我々のフトモモ。
その間にむりやり手を突っ込んだ結果、
彼の貧乏揺すりの動きに引っ張られ、ワタクシの左手も小刻みに動く。
これでは三人でリズムを取っている、ただの仲良しグループ。


そっと両手を抜いて、元の位置に戻す。








バスは動かない。




30分ぐらいそのままだったのかな?


いつの間にか彼らの貧乏揺すりは終わっていた。
なのに感じる微妙な振動。
携帯鳴ってないのに、「あれ?バイブレーションが・・・」みたいな錯覚?


バスを降りてすぐ、履き古した中学の学生服みたいに
テカテカになってないか確認してしまった。


大丈夫でした。