コメント文化

インターネットの普及で新しい価値観が生まれ、常識が日々書き換わっていくような、変化のスピードの早い時代になった。

 

インターネットの世界にいるのは根暗な人とされ、少し世間から後ろ指を刺されるような時代から、利用者人口の増加とともにネットでの有名人と認知されるような人が出て、その人達がテレビで人気を博すようになり、いまではテレビで有名になった人もネットに進出する。

常時接続が当たり前になり、ダイヤル回線で繋いで画像を一個表示するのにも数分必要だった時代が在ったことも遠い昔。

 

昔から趣味の世界というのは細分化されていたが、それが極端になり、深度も増えた。

それ自体は大歓迎の世界ではあるけれど、ネットで共通の話題に対して使われていた隠語や仲間内でのスラングが、実際の会話でも使われるようになってくると、やはり違和感がある。

ワタシの知り合いにも数人いましたが、そうゆう人は自分の常識、相手の常識、世間の常識を測れなくなっているとしか思えない。

昨日書いた内容にもつながるのですが、文章で使うような字面で見る言葉を、声に出し、それを耳にするのはやはり心がザワザワする。

例えば「壁ドン」という言葉がある。

これを聞いて若い世代の女性が想像するのは、意中の女性を壁際に追い詰めて、イケメン男子が壁に手を付き、顔を至近距離に寄せて思いを伝えるシーンでしょう。

でも、最初はアパートの隣の部屋で騒がしくしている住人に対して「ウルサイ!!」と主張することを指していた。

こんな感じで、世代によって言葉や字面から受ける印象というのは変化する。

曲解しているわけでもなく、ある時の誰かの勘違いを面白く感じたり、もとのシチュエーションよりもピッタリ来るとか、より建設的だったり平和的だったりしたことで利用シーンが増え、一般化するという流れ。

こうゆう言葉の変化は非常に興味深くて、個人的には面白く感じる。

 

問題は、ある一定数どこにでも発生する攻撃的な人。

あるいは表現が直接的な人。

 

おそらく、この「壁ドン」が萌えの状況描写として使われ始めたときもそうだったと思うのですが、言葉の意味を別の2つの解釈で使用する両者がコメント欄や掲示板で静かなる罵り合いを繰り広げていたことは想像できる。

 

A子「昨日、アパートで音楽聞いてたら『壁ドン』されてさぁ、最悪だったわ」

B子「えー、誰、誰、どんな人?」

A子「いや、誰って隣の部屋の人だよ?(壁を殴ってくるんだから隣でしょ?)」

B子「隣の部屋!?って確か同じ大学のC子さんよね?(女性同士でなぜ?)」

A子「うん、そうだよ。なんか大人しい娘だと思ってたけど違ったみたい(怖い人かも)」

B子「えー、すごーい(積極的なのね)」

A子「凄いっていうか、ビックリするよね(急に壁殴られてさ)

B子「うん、そうだよね(女の子同士だし)」

A子「ほとんど話したこと無いしさ」

B子「いきなり壁ドンしてきたの?」

A子「うん、何も言って来ないでいきなりだよ」

B子「え!?告白もなしで!?」

A子「告白?(注意のことかな?)うん、急に」

B子「で、A子は(C子さんの愛を)受け入れたの?」

A子「うん、受け入れたっていうか仕方ないから(音楽消して)すぐ寝た」

B子「(C子と)寝たのーーーー!?」

A子「だってC子さんのことよく知らないし(文句言って喧嘩になっても怖いから)」

B子「でも、だからって寝るのはちょっと急すぎない?」

A子「なんで?寝れば済む話でしょ?」

B子「で、どうだった?っていうかどうするの?」

A子「実は今朝、部屋を出た時にばったり顔をあわせちゃってさ、なんか気まずかったわ」

B子「改めてなんか言われたりしたの?」

A子「うん、壁薄いんだから大きな音出さないでって」

B子「え~!!そんなに激しかったの!?」

A子「そんなつもりはなかったんだけどね。私的には普通?」

B子「(なんかA子って大人~)でも、良かったね(女の子同士の恋愛でもいいと思うよ)」

A子「(喧嘩にならなくて)良かったけど、向こうは向こうで彼氏連れ込んでうるさくしてるのよね」

B子「え!?(C子さん、彼氏もいるの!?)」

A子「うん、だから(うるさくするのは)お互い様って感じ?」

B子「え!?B子も(彼氏いるの)!!!」

A子「うん、でもまぁ、しばらくは(音楽は小さな音で聞いて)大人しくするわ」

B子「うん、それが良いよ。二股で我慢したら?なんて(この場合も二股って言うのかな?)」

A子「二股?(あぁイヤホンジャックの事かな?)うん、そうだねそれが普通かもね」

B子「普通?では無いと思うけど、、、あ、そうだ!バレンタインデーはどうするの?」

A子「バレンタインデー?うーん、でも私、チョコあげるような人、居ないしなぁ」

B子「え?彼氏は?」

A子「何言ってるの!?私に彼氏居ないの知ってるでしょ?まずは男を探すとこからかな?」

B子「え!?三股!!!」

A子「三股?」

B子「え?」

A子「ん?」

B子「え?いま『壁ドン』の話してたよね?」

A子「うん、C子さんに煩いって隣の部屋から壁は殴られたけど、それがなんで三股に?」

B子「え?C子さんに壁に追い詰められて、そのまま寝ちゃったって話では?」

A子「??」

B子「??」

 

 

 

 

 

こんなすれ違いコントのように平和な対話であれば良いのですが、大抵は「ちげぇーよw」とか言う見下したような言葉が飛び交い、対して「ネタにマジレスw」などホントか嘘か『ボケに対して本気で反応するな』というスタンスでやり合いが始まる。

 

文字を打つことの億劫さ、匿名であるということでのマナーの欠如が、こうした配慮不足なコメントを産むと言われてきた。

それに加えて、さらに幾つかの理由があると思う。

 

コントに夢中になって、文章が長くなってしまったので、続きは明日。