昨日、適当にスリランカ国会議員の給与について書いたのですが、ちょうどスリランカのニュース記事になっていたので見てみる。
記事内には細かいことが色々と書いてある。
国会議員が税制を決めたのに、その税に対して「我々はこんなにも税金が引かれる」と文句を言っている議員たちの声だ。
事前に計算とかしなかったのかね?
どんな影響が出るかも検討せずに法律を発布していることが図らずも垣間見えたのですが、ワタシの興味としては手当などの中身。
こちらが一ヶ月の給与と手当の一覧です。
ちょっと前(と言ってもコロナ前ですが)に増額されてこの金額になっています。
首相の給与を見ると、一ヶ月の基本給が71500ルピーとなっている。
現在の為替で言うと、3万円。
ずいぶんと控えめな数字だとは思いますが、では何故マヒンダ・ラージャパクサは地方議員なりたての頃には小さな家に住んでいたのに、一等地に豪邸を構えるまでになれたのか?
彼の息子もスーパーカーを何台も替えるほどの収入があるのか?
そこについての追求は、この記事には一切ない。
とは言え、記事内では国会議員の所得税は10万ルピーにも及ぶ場合があると言及している。
それをもとに計算すると支払われた給与と手当の総額は、人によって異なるが30万から40万ルピーだとか。
これでもまだまだ豪邸を建てるには心もとない。
金額的に大きい支給品というのが、この表には載っていないのです。
車ですね。
大臣や閣僚クラスになると、5年の任期で5000万ルピーという金額内で車を調達できるのです。
日本円で2000万円ですね。
スリランカの省庁は50以上もあり、人によっては幾つかを兼務する。
そうなればそれだけ手当が加算されるというわけです。
さらには、サポートスタッフを公費で任命できるのですが、そこには家族を指名する。
かれらには諸手当が国会議員と同様のレベルで付与されるし、自動的に100時間の時間外手当も付与される。
大臣によっては15人ほどのサポートスタッフを抱えるそうです。
また、活動経費として500万ルピーが支給されるのですが、こちらの使用目的は公開されているということは聞きません。
さらに、地方出身の国会議員たちの副収入で大きいのは行事への出席。
結婚式とかにも呼べば来ます。
地元選出の国会議員が来れば箔がつくという考えのもとで、依頼する人はそれなりに多くて、もちろん謝礼を出すので、これが副収入となる。
あとは職業の斡旋。
昨日書いた半官半民気魚への働きかけで10万ルピー。
公務員への口利きで10万ルピー。
募集リストへの名前の掲載で10万ルピーなどなど。
これが違法行為ではないとするならば、スリランカに発展の途は無いし、違法行為だとするなら何故取締を受けないのか?
これはこれで、事態はもっと深刻。
警察も検察も裁判所もメディアもつながっているってことです。
ワタシの妻も公務員になる際に、地元議員の推薦状を持って来いって言われたらしいので、もしかして合法なのか?
それとも、あまりに当たり前になっているので何も問題にならないだけなのか?
疑問です。
あと、国家プロジェクトの予算の10%を取次手数料として要求する「Mr.10%」と呼ばれる例の一族の人も居ますし、入札を通してやるから会社の役員にしろとか、我々が思いつくようなことは一通りやっています。
10万ルピーも納税していると声高に主張する大臣たちは、その何十倍何百倍もの裏金を懐に入れているのです。
国を崩壊させてアメリカに逃げた前大統領にも議員年金が支払われています。
彼がモルジブやタイ、シンガポールに逃げ出した際の飛行機はチャーター便だったのですが、その費用は彼の支払いだったとか。
税金が直接投入されていなかったことは救いですが、チャーター便って1000万円ぐらいは掛かるのよね。
余裕で。
そのお金が、毎月の給与と手当を貯金したものから賄えるはずがなく、ニュースにもならないこの国の現状は相当に汚れている。
一方で、そんな政治家を支持する民衆にも当然ですが問題は多い。
少ない見返りを得るために大きな不正には目をつぶる。
周囲の人よりも相対的に裕福であれば幸せだという感覚があるのでしょう。
国民が皆、能力に応じて裕福になるよりも、誰も裕福にならなくて良い、自分だけ裕福になれさえすればって感じ。
極論、自分は変わらずに周りが貧乏になることすらも許容します。
いろんな議員の口利きで職にありついた公務員を整理するという話も出ている。
同じポジションに大卒と高卒が配置され、業務執行能力のない公務員は日がな1日小説やYoutubeを見て過ごし、仕事は業務っ執行能力のある一部の職員に集中する。
これでも給与は同じだったり、場合によっては議員の口利きで意味不明の手当がついていたりする。
その手当の一部が議員に流れる。
で、当たり前のように経済危機に陥るわけですが、業務執行能力のある人から海外に流出していき、能力ヤル気ともに皆無の人材のみが残される。
簡単な書類手続きがなにも処理されずに放置され、いつまでも処理されないことに対して裏金でなんとかしようとする輩がでてきて、またも贈収賄の温床が増える。
業務の簡略化をするメリットよりも、サインの量を減らすことで裏金を手に入れる機会を減らすデメリットのほうが大きいため、いつまでたっても書類仕事は減らない。
ワタシの妻は、今回の日本渡航と無給休暇の取得にあたって、既に40枚以上の書類にサインしたそうだ。
これに対して、直属の上長、部門長、場合によっては口座のあるいくつかの銀行で承認サインを貰い、所属する省庁の大臣からサインを貰い、仕事を引き継ぐ人員を自ら探してサインを貰い、しかるべき期限までに提出しなければならない。
なのに、書類の発行がまったく進んでいないそうだ。
申請して、書類を発行してもらおうにも、一週間後とかに出頭するとまだ書類が出来ていない。
探すのだけれど見つからない。
再提出してくれと言われる。
頭にきて、再度の書類捜索をお願いすると受付ボックスに入ったままで何も処理されていない。
それを探し出すのに正味二時間。
こんなことばかりだそう。
一番時間がかかるだろうと踏んで、日本滞在許可が出る前から準備しててもこれですから。
少し前にオーストラリアに出稼ぎに行くことが決まった妻の同僚は、結局のところ書類が間に合わず、頭にきて退職した上で出稼ぎに行ったらしい。
国は外貨獲得のために出稼ぎを奨励しておきながら、現場では出稼ぎ組への嫉妬もあり、事務処理能力の問題もありで、手続きが進まない。
A4用紙の枯渇や印刷用紙の枯渇で、公共料金の請求書が来ないような事態なのに、書類を何十枚も用意させられる。
外貨送金を受け取るための口座を作りに銀行に行っても、窓口の判断で拒否される。
これなんて「なにか問題が起きても銀行には損害請求はしない」という銀行側に何一つ不利にはならない書類、しかも年金機構が発行する書類に対してサインしないんですからね。
原因は、窓口の女性が英語を理解しないから。
銀行に損害を転嫁しないという英語で書かれた文言を理解できず、「銀行が責任を持つ」と読んでしまう。
さらに何の権限もない窓口での拒否。
マネージャーのサインですから、マネージャーに手渡してマネージャーの判断に基づいて拒否するなら理解できる。
そのマネージャーも窓口の言うことを鵜呑みにしてサインしないという有様。
妻は同じ銀行の本部や他の支店に電話して「銀行側はサインの拒否は出来ない」ってことを確認し、直接電話を繋いでマネージャーに聞かせて、ようやくサインを貰ったらしい。
問題は、英語を理解できないのにそれを知られたくない窓口と、自分で判断しないでその窓口の言うことを鵜呑みにするマネージャー、さらには公用語のシンハラ語で書かない年金機構、そして内容に問題は無いけれど英語にスペリングミスのある公的書類。
どこに突っ込みを入れれば良いのかも分かりません。
妻の来日まで40日あまり。
まだ彼女の職場での書類は揃っていないし、ビザも取得していない。
来週からシンハラ正月だし、5月頭にはウェサックもある。
40日有るとは言え、土日と祝日で少なくとも14日は潰れる。
実のところ稼働日は20日と少し。
間に合うんでしょうか?