約50日間に渡って行われた麻薬犯罪の取り締まり強化で56,541名の逮捕者がでた。
人口の0.25%だ。
先日の独立記念日に恩赦で数百名が釈放されましたが、逮捕者が多すぎる問題は解決出来ない。
バティカロアというスリランカ東部の都市にある古い病院を収容施設に転換するという話しも出てきた。
計画性の無さ、行政における他部門との連携不足を感じさせる、行き当たりばったりなオペレーションだったのですね。
逮捕しても裁判の手続きが進められない。
一時的に留置する場所がない。
判決が出ても収容する場所がない。
これら全てが、他の犯罪者を含めて刑期の短縮、判決時の減刑に繋がってしまうし、収容所の管理不足は脱走(年に一回は大きな脱走事件がある)、囚人同士の騒乱、守衛による虐待、買収、矯正失敗、再犯化を生む土壌となる。
エンジニアや熟練労働者不足はインフラのメンテ不備に繋がるし、医療従事者の海外出稼ぎは医療崩壊に。
恒久的ではない、一時的な犯罪取り締まり強化は犯罪率の低下には大きく寄与しないし、少しずつ低下している生活の質は、次の犯罪の呼び水になる。
この状態が続くと、ある時点で一気に国が崩壊する。
いつかのソビエト、ベネズエラ、アルゼンチン、エルサルバドル。
終戦時にはアジアの国々で最も発展が予想される国の一つとされていたスリランカ。
シンガポールはスリランカを手本にすべきだと言う話しもあったくらい。
1960年代には、まだ大きな差は両国にない。
一人当たりのGDPもほぼ横並びだったとか。
そして最近のデータでは、その差が13倍とかに。
この差は偏に政治の腐敗度に依るものだと思う。
戦後にスリランカかシンガポールかと言われた理由は、国の立地と識字率の高さ。
その2つに時代における変容はない。
国の場所も変わっていないし、依然として識字率は高いままなのですから。
差がついた原因は他の部分です。
識字率の高さという利点は、他の国の教育レベルが上がったことで相対的な優位性は失いましたが、これは仕方のないこと。
政府に出来ることは環境整備の一言に尽きる。
投資しやすいように手続きを簡略化するとか、公平感のある税金制度を準備するとか。
今の政権には難しいかも知れませんが。