スリランカでは、インターンを終えて600名ほどが新たに医師として政府系の病院で働き始める。
その他、個人のクリニックでのみ働いていた医師も政府系病院で勤め始めるようで、総勢1300名が新たに医師として政府系病院での勤務を開始するとか。
1年後にどれだけ残っているか。
スリランカでは医師は特別。
税金面での優遇や、ある種の特権もある。
それは、海外で働けば今の数倍もの収入が得られるにも関わらずスリランカで働いているという意識が、少なからず在るからだと思う。
それは政府も理解しているので、逃げられないように鎖を巻く。
大学の学費は免除する。
なので医師になった後は、政府系の病院で一定期間働く事を強制する。
それを破れば大きな支払いが発生する。
ムチだけでは無くアメも用意している。
車は免税で買えるし、専門職の資格を取るための留学費用は国から支援が受けられる。
ある意味で脱税とも言えるのですが、無税で車を購入できる権利を行使せずに他者に売り渡すことも黙認されている。
以前は何台もの車を無税で購入しては利益を載せて売り払うことも可能だった。
さすがに無視できなくなって、段階的に制限が掛けられ、今では無税で購入できるのは一度のみとなった。
しかし、安い車で充分とか、そもそも車を必要としない医師は、未だに無税での購入が可能な権利を売りに出している。
ワタシの知り合いにも居ます。
権利を売り払い、今はイギリスに移住した。
これ、後で問題になるパターンです。
本体価格が100万ルピーだとして、200万ルピーの税金が保留されている。
その車を50万で売ろうとすると、保留されていた200万ルピーは消滅する。
ただし売った人間が資格を持った医師本人である場合に限る。
これで医師の権利も消滅するので、次回からは納税しなくてはならない。
権利を購入して、車を無税で手に入れた人は、その車を売ろうと考えた時に医師本人であると証明しなければ納税の義務が発生する。
しかし、この場合は医師は海外に居る。
本体価格が100万ルピーの車を同じく50万ルピーで売ろうとすると、税金分の200万ルピーを上乗せして売る必要がある。
どちらにしても権利の購入者にはマイナスが無いように思えるけれど、この人は医師から権利を購入した時に支払いが発生している。
その分がマイナスになる訳です。
それでも、税込み300万ルピーの車を税抜き100万ルピー+αで数年使えたというメリットはあるのですが、その+αの値段次第では国外に行ってしまった医師を恨みたくなりますよね。
医師は逃げ得のようにも思えますが、場合によっては脱税で検挙される可能性もありますので、両者ともにリスクのある行為です。
その医師の配偶者はスリランカでマスターを修了している男性なのですが、移住後数年が経った今でも仕事が無いと言っていました。
現実は厳しいですね。